本アイコン昨年暮れに出版され、わずか2週間で100万部を突破した「KAGEROU」。同じく昨年のNo,1ベストセラー「もしドラ」。この2冊から見えてきた「水嶋ヒロのマネジメント術」とは!?現代を生きる2人の女の子が鋭く斬り込みます。
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだらKAGEROU



ドラッカー × 水嶋ヒロ!?


あゆみ:2週間で100万部だって。さすが水嶋ヒロ!もえはKAGEROU読んだ?

もえ:読みました。アマゾンの評価では親父ギャグだとか、出来レースとか散々酷評されてますが…私は読みやすいし、細かい部分まで気にしたらきりがないと思うんです。命についても大切に表現されていたし、全然アリだと思いますよ。逆にどれだけ酷い本かと期待して読んでいたくらいなので、意外によくてビックリしました。

あゆみ:世間ではポプラ社小説大賞をとったのも八百長だって噂されてるよね。それについてもえはどう思う?だって多くの文学賞の場合、作家や評論家が選考委員になって主催する出版社の意向が選考に入る余地はないっていうけど、今回の選考を担当した編集者13人は全員ポプラ社の社員っていう話なんだよ?実際、本を読んでみても表現力はいまひとつだし、内容に関しても他にもっといい本はいくらでもあると思うんだ。

もえ:それじゃあ選考の基準を疑われても仕方ないですよね。もしそれが事実なら私は水嶋ヒロ好きだったし、応援してただけに少し裏切られた感じがしてショックです…。

あゆみ:いずれにしても、私は水嶋ヒロがポプラ社小説大賞を受賞したということが大切なのであって、八百長であるかないかなんて関係ないと思うの。もっと言えば本の内容だってなんだっていいと思うの。結果、100万部を超えるベストセラーになってあの村上春樹さんの「1Q84(book 1)」を超えてしまったんだもん。私は個人的には村上春樹さんの方が好きなんだけどね(笑)。そういう意味で、今回の売り出し方は大成功だったんじゃないかな。

もえ:芸能界を引退した水嶋ヒロが書いた小説っていうだけで物凄い話題性がありますよね。更に大賞を取ったとなれば、普段小説を読まない人たちに対しても「そんなすごい本なんだ」っていう後押しになりますよね。

あゆみ:そう、そこなの。いかにして世間の興味を惹く話題をつくり水嶋ヒロを売るか。

もえ:水嶋ヒロの「マネジメント」ですね!

あゆみ:で、昨年から話題になっている「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という本を引用させてもらうと、

企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。(P36)


あゆみ:つまりマネジメントを考える上でまずは「顧客は誰か」を考える必要があるの。もちろん水嶋ヒロがマネジメントを意識していたわけではないと思うんだけど。

もえ:「顧客は誰か」ですか。顧客ということは…やっぱり本を買う消費者、私たちのことでしょうか?

あゆみ:もちろん、私たちも顧客の一部だよね。でも、今回はもっと広い意味で、水嶋ヒロを取り巻くすべてが顧客と定義していいと思うの。家族だったり、出版社、マスコミや彼自身も。そしてもし仮に私たちが「話題」を求めていたとしたら?

もえ:「顧客に話題を与える」組織…組織というのはちょっとオーバーな気がしますが。そうなると出版社やマスコミ、彼自身も「話題」を求めていたということでしょうか。

あゆみ:そう解釈したら八百長だといわれていたことにも納得がいくと思うの。「話題」ではなくても他にも「感動」や「幸せ」だったり、いろんな見方はできると思うんだけどね。

もえ:ポプラ社側からしても、2006年に小説大賞を設けてはいますが、1回目に大賞が出て以来、3年間ずっと「該当作品なし」が続いていたみたいですよ。このご時世ですし、賞の存続すら危うかったのかも。そこに水嶋ヒロが大賞をとればこれ以上ない話題になり、本は売れる。両者の求めているものが一致した…というわけですか。

あゆみ:それがポプラ社のイノベーションだったというわけ。

企業の目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。(P58)


イノベーションの戦略の一歩は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである。イノベーションを行う組織は、昨日を守るために時間と資源を使わない。昨日を捨ててこそ、資源、特に人材という貴重な資源を新しいもののために解放できる。(P144)


あゆみ:従来の選考方法では賞の存続も危なかった。だから今までにない選考方法で水嶋ヒロを大賞へと導くことで、出版社は知名度を、水嶋ヒロは話題性を求めたんじゃないかな。

もえ:じゃあ「社会貢献に活用してほしい」といって賞金の2000万円を辞退したことについても、マネジメント的な作為はあったんですか?

マネジメントには自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献する役割がある。(P151)


あゆみ:マネジメントの役割としていくつかあるんんだけど、その中でも社会貢献はとっても重要な視点なの。マネジメントの正統性を裏付けることにも繋がってくるからね。

もえ:そこに水嶋ヒロの経歴が加われば世間が注目しちゃいますよね。イケメンで慶応卒で帰国子女でサッカーで全国にも行ってて、奥さん歌うまくって愛妻家なんて言われてるでしょ。

人は最大の資産である。(P121)


あゆみ:マネジメントにおいて人はとっても価値のあるもので、人事においてもその人の強みを生かすことで最大限力を発揮する―とあるんだけど、まさに水嶋ヒロは人事の点からみても最適な人物だったと思うの。

もえ:誰でもいいわけではないんですね。

あゆみ:たとえ純粋にいい作品を選んだとしても、正直今回のような大ヒットにはならなかったと思うな。

もえ:そうですよね。私の名前じゃ誰も買わないですよね(笑)

あゆみ:そこまで意図していたかは分からないけど、彼のために多くの人が動いていたのもまた彼の強みだと思うの。今後、小説家として歩んでいくのならこれからは彼自身がマネジメントしていかないと2作目以降は成功しないんじゃないかな。もちろん経営という意味もあるけど、小説家として何が必要で何が足りないか、何が求められているか。そのためにはどうしたらいいか。小説家じゃなくても組織に属する社会人なら当然のことなんだけどね。

もえ:次はもう齋藤智裕が水嶋ヒロでしたなんて通用しないですもんね。

あゆみ:難しいけど真摯に向き合っていかないとね。


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あゆみ
あゆみ/198*年生まれ。N大学総合政策学部卒業、保険会社勤務を経てファイナンシャルプランナーとして家庭を守る。

もえ
もえ/平成生まれの誰からも愛される可愛いルックスで某モデル協会に所属。趣味はお散歩。


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