野田首相 プーチン大統領
野田首相が年内の解散を明言しないのは当然だ。今解散などして選挙に突入すれば、今後の日本の明暗を分けるであろう12月の日露会談が流れてしまう。プーチン大統領と野田首相は相当うまくいっている。かつてロシアとこれだけの信頼と友好関係を構築できた総理がいただろうか。国士であれば、その重要性が分かるはずだ。

【日露首脳会談】野田首相、12月に訪露へ 領土交渉本格化目指す

【ウラジオストク=半沢尚久】野田佳彦首相は8日午後(日本時間同日昼)、ロシア・ウラジオストクでプーチン大統領と会談し、12月にロシアを訪問したいとの意向を表明した。プーチン氏は「歓迎する」と応じた。首相の訪露は北方領土交渉の本格化を目指すもので、その前段として今秋に次官級協議を開くことも提案した。

両首脳の会談はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議開幕に先立ち行われたもので、6月のメキシコに続き2回目。

首相は北方領土問題について、「静かで建設的な環境の下、双方受け入れ可能な解決策」を見いだす必要性を指摘。首脳、外相、次官の3つのレベルで「実質的な議論を進めていきたい」と述べた。プーチン氏も「世論を刺激せず、静かな雰囲気のもとで(領土問題を)解決していきたい」と応じ、今秋の次官級協議の開催に異論を挟まなかった。

一方、前回の首脳会談直後の7月、メドベージェフ首相が北方領土・国後島に上陸したことについて、首相は直接言及はしなかったものの、両国の協力関係の拡大には「(日本の)国民感情への配慮が必要だ」と遺憾の意を示した。
――msn産経ニュース:2012年9月8日(土)配信

12月の日露会議は日本の将来を決める。ここで日露同盟を結ぶことは1902年の日英同盟に匹敵する。ロシアとの戦争にどうしても日英同盟が必要だったように、これからの日中冷戦ではどうしてもロシアの牽制と助けが要る。1902年の日英同盟と2012年の日露同盟は、後世の歴史家の中で同じ扱いになるはずだ。

野田首相は、「これが成功するまでは解散できないし、解散時期を明言したら成功しないだろう」と考えている可能性が高い。地政学的にも、今ロシアと連携する意義は計り知れない。中国との対立はもはや避けられないだろう。ならば後方から支援もできて資源も近いロシアと結ぶのは自明の理だ。

日露同盟の有効性はそれだけではない。ロシアと共同パイプラインが設置出来れば、原発問題のみならず北海道や被災地東北の開発にも寄与できる。奥州藤原氏による平等院の繁栄をもう一回成し遂げられる可能性だってゼロじゃない。東北は東京と結ぶ限り下僕に過ぎないが、ロシアと結べば伊達政宗の野望を再興できるかも知れないのだ。

さらにロシアは放射能廃棄物処理場を建設中だから、廃棄物を引き取ってもらうという方法も残されている。この会談が成功するかどうかは、実は原発再稼動の試金石ともなるのだ。何だかんだで、自民党もこのカードは欲しいんじゃないのか?人気取りで解散を騒ぎたてる安倍総裁と石破幹事長だが、自民党の本心は別の所にあるような気がしてならない。

野田首相はプーチン大統領との会談に起死回生を賭ける。そこで北方領土問題を解決すれば、政権は続投せざるをえない。外交業績を上げて交渉中の総理を変えるわけにはいかないだろう。それを無視して選挙を強要しようとすれば、それこそ国賊である。

逆を考えれば、12月会談でプーチン大統領と北方領土問題を解決に導けず、日露同盟が結べなければ、1904年の日露戦争に日英同盟なしで突入するのと同じ状況に陥ることになる。

中国との戦いはこれからが正念場だ。中国は朝鮮戦争以来、大戦争をするたびに国家の地位が上昇している戦勝国である。戦争への敷居は非常に低い。戦争を理由に日本の財産没収、借金踏み倒しも考えているはずだ。仮に日本が勝ったとしても、60年前に賠償請求しなかった中国に、日本は賠償請求はできないだろう。世界もそれで丸く収まるなら日本を切り捨てる。

金持ちでいることのリスクも少しは考えたほうがいい。日本は強力な債権国で、日本に借金しているところは日本が潰れてくれることを望む可能性すらあるからだ。それはアメリカにも同じことが言える。

有事の際に日米安保は発動するだろうが、アメリカは一旦同盟国が甚大な被害を受けてから動く。そのことを日本人は決して忘れてはならない。朝鮮戦争、湾岸戦争、そして9.14…アメリカという国は本質的にカウボーイ願望があるから、劇的な状況を自然に望む。その確執の中心地はほぼ確実に戦禍に見舞われる。その後、骨の髄まで恩を売る行動に出る。それがアメリカの常套手段であり、政治手法だ。

例えば、湾岸戦争ではクェートに事前警告をせず、クェートがどうにもならなくなった状態で参戦した。アメリカは確かに同盟国を守るが、土下座して「何でもやります」というまでは手を貸さない。仮に日中で戦争になったとしても、日本がアメリカ国債を帳消しにすると言うくらいまで参戦しないかもしれない。

確かに同盟国は守る。守るのだが、その "みかじめ料" は莫大なのだ。

したがって、アメリカは日本が大陸勢力に接近するのを好まない。"損害保険" の取り分が減るからだ。それを証拠に、これまでロシアに接近した日本の政治家や官僚は、鈴木宗男氏はじめ、アメリカに徹底的に潰されてきた。生半可な政治家では無理だ。アメリカに事情を説明できて、信用される政治家でなくてはロシアには接近できない。

今回もアメリカが文句を言うかもしれないが、実は今、歴史上これまでになく日本に利がある状況だ。米軍が傷ついてハワイまで撤退し、予算も削減される中、中国海軍の台頭には必然的に日本が対応しなくてはならないので、ある程度のロシアへの接近は見逃してもらえる可能性が高い。

チャンスは今しかないのだ。

野田首相はロシアとの交渉を成し遂げれば、田中角栄を越えるだろう。角栄はソ連との連携を画策してアメリカに潰されたのだから。

瀬戸内平八
せとうちへいはち/愛媛県出身・在住の歴史家、旅人、ニート…何でもいい。本音持って来い!自由とは、覚悟の色、矜持の風。人生を検索するな!結果のバランスを取るな。大義親をも滅ぼす。知行同一。間違ったら即焼き土下座。優しさを捨てて寛容になれ。そして敵を祝福せよ。
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