自分がズレてるってことを全然知らなくて。でも、関わってくれる人がそれを良しとしてくれるっていうか。「面白いからこのまま行け」って言ってくれる環境ってありがたいなって
漢那ゆき1


―――デビューミニアルバム「KANNA YUKI」聴きました。とにかく、音がめっちゃくちゃ良いですね!びっくりしました。

漢那:本当ですか?ありがとうございます!

―――イヤホンで聴くよりスピーカーで聴くほうがいいって、久しぶりにそういう新譜を聴いたなって思って。

漢那:あ、うれしい(笑)

―――ジャンル的には何になるんですか?

漢那:いつも説明するときは「ジャズとかボサノバ寄りのポップスです」って言ってます。

―――あー…そうか、そう言えば分かりやすいのか(笑)

漢那:ちょうど真ん中くらいかなって思って。どっちっていうわけでもないし。

―――誰かがご飯を食べたり飲んだりしているところでこのCDがかかってたら、すごく美味しくなるような。全部引き立つみたいな感じがしました。

漢那:そういえば私、「君の音楽はBGMとしても邪魔にならないからいいよね」って言われたことがあって(笑)。

―――確かに(笑)。

漢那:よく分かるんです。自分でも(笑)

―――でも、その雰囲気とは対照的に…すごくサービス精神が旺盛なアルバムですよね。「ここはこうあってほしいな」っていうところは必ずそうなる、みたいな。「ちょっと音が減ってほしいな」って思うと減るし、「転調したらカッコいいだろうな」って思うと転調する(笑)。だから、ジャンル的に使う楽器も限定されてるのに、すごく明るいアルバムだと思います。

漢那:ありがとうございます。でも、4曲目の『parade』とか、私は好きなんですけど…「暗い!」とか言われたりするんですよ。

―――えぇ!?

漢那:(笑)知り合いがCDを買ってくれて、その人は歌詞を重視するんですけど、「歌詞、暗い!」って。「違う違う、後ろ向きと見せかけて、実はすごい前向きな歌詞だよ」って。

―――後ろ向きと見せかけて(笑)

漢那:あ、見せかけちゃってるからしょうがないのかな(笑)

―――リリースのきっかけを教えてください。

漢那:去年の2月ぐらいに『秋田犬(あきたいぬ)』の馬場さんに「CD出したいんですけど大丈夫ですか?」みたいにお願いしたんです。「私、12月生まれなんで12月にできればしたい」て言って。じゃあ何月までに入れる曲を決めて、何月までにレコーディングして…っていう風に逆算していったら、もうあっという間でした。

―――でも、しっかり10ヶ月かかってるじゃないですか。

漢那:やっぱりなかなか一発で決められない部分とか、細かいところは録り直しもしてるんですけど。歌とギターだけ別のスタジオでやったり。でも、わがまま言って良かったって思ってます。最初に全部自分の要望の楽器とか書いたんですね。アレンジャーの人に「この曲はこういう曲から影響を受けて、こういう楽器が入ってるイメージです」ってのを全部書いて、それが通っているんですね。カットされたらショックだったと思います。違う印象になっちゃいますから。

―――じゃあ、今回はかなり自身のイメージに近いものができたと。

漢那:そうですね。でも私、自分の感覚がオカシイってやり始めてからわかったんですよ。

―――え?(笑)

漢那:例えば…普通に聞いてて、「こっちの方が心地良い」って思うメロディラインとかあるじゃないですか。

―――はい。

漢那:そうするとたいていの人が「え!?なんでそこ?」ってなっちゃうんです(笑)。「だいたいの人はこっち選ぶのになんでそっちいくの?」みたいな。

―――なるほど(笑)

漢那:自分がズレてるってことを全然知らなくて。やっていくうちに、「ああ、そうなんだ…」って。でも、関わってくれる人がそれを良しとしてくれるっていうか。「面白いからこのまま行け」って言ってくれる環境ってありがたいなって。人によっては…そういうのを嫌がる人もいるじゃないですか。「こういうのが売れ線だから王道でやりなさい」とか。そうするとすごく窮屈になっちゃって、「そんなの私がやる意味ないし」って。そこらへんがちょっと頑固なんで(笑)

―――(笑)

漢那:「普通のこと別にやんなくていいよ」みたいな感じで言ってくれる環境があるっていうか、それでずいぶん気が楽になりました。

―――そんな『秋田犬』の店長とはどうして知り合ったんですか?

漢那:前にジャパン・エンターテインメント・アカデミーっていう歌の養成学校に通ってた頃に、そのスクール主催のライブに出たんです。で、そこに店長もいらしてて。店長も沖縄出身だったので、「あ、こんなとこに沖縄の人いたんだー」みたいな感じになって。

―――東京で同郷に出会えるとやっぱり嬉しいですよね。

漢那:今もやってるんですけど、「秋田犬」では月に1回「なんちゃってブルースデー」っていうのがあるんですね。で、「そういうのやってるから、おいでー」みたいな感じで言って下さったんで、実際見に行ったんですよ。行ってみたら、別にブルースはやってないんですけど…誰も(笑)。

―――漢那さん、決めたら早そうだ(笑)

漢那:(笑)で、そのときに、スクールの発表会の時も歌ってたEGO-WRAPPINの「色彩のブルース」を歌わせてもらって、それからだんだん、なんていうか…あったかい雰囲気なんで、遊びに行きやすいんですよね。それでちょくちょく通いはじめました。で、そろそろオリジナル曲で活動したいなー、って思ったんで、スクールは卒業して、少しずつ外で活動していきました。

―――こないだのライブの後、漢那さんEGO-WRAPPIN'似合いそうだなぁってずっと思ってたんです。

漢那:やっぱそうですね……影響は受けてます(笑)

―――そのスクールに通われていたのは上京されてからですか?

漢那:そうですね。上京してすぐに通いはじめました。でも自分では動けていなかったので、最初の頃は…1年に1回くらい、百何十社のレコード会社とかプロダクション、芸能事務所とかを呼んで、全国の何校かから選ばれた生徒がプレゼンみたいなことをするチャンスがあったので、そこに出たりしていました。

―――漢那さんは何回出たんですか?

漢那:結局2回出たんですけど、1回目とかは緊張しすぎて音を外しすぎたりして、みんな「あ~…こいつやっちゃったよ」って感じでした(笑)。2回目に出たときは2ヶ所くらいから声がかかったりもしたんですけど、こちらからお断りしたりとか、面接して向こうから断られたりとか。ある事務所から「音楽に見切りを付けてリポーターや女優で」というお話も頂いてたんですけど…「歌に見切りをつけて??歌手志望なのに!?」って感じでした(笑)

―――なかなか噛み合わないものなんですね…。

漢那:他にも、あるレコード会社の人が面接してくれたんですけど、私の嫌いな食べ物がカレーと餃子って聞いたらそれに食いついてきて(笑)。メモとかしだして、歌そっちのけで(笑)。「え!それそんなに食いつく!?」って(笑)。

―――男は大抵好きですからね、カレーと餃子(笑)。

漢那:あ、でもカレー嫌いは何人か会ったことあるんですよ。

―――味が駄目なんですか?それとも辛い物が苦手とか。

漢那:カレー味が駄目です。あ、でも極端に辛いとやっぱり食べられない。香辛料がちょっと。カレー味の食べ物が全部駄目です。カレーの具は全部好きなんですけどね。

―――話が脱線しました(笑)。そもそも養成所に入る目的で上京されたんですか?

漢那:最初は養成所とか何にも考えないで、ただ歌をやりたいなって思って出てきたんですけど。沖縄よりはチャンスが多いかな?って思って。

―――じゃあ6年くらい養成所に。

漢那:そうですね、それくらい通っていました。

―――だけど養成所って沖縄にもあるじゃないですか。

漢那:アクターズスクールは…

―――やっぱりそこですか(笑)。でも沖縄のタレント養成所って、アクターズスクール1つしかないっていうわけじゃないんですよね?

漢那:今はもっとあるのかもしれないですけど、その頃って言ったらSPEEDとか全盛期のころですからね。私は高校1年生の時から山田優ちゃんが好きで。会いたいがために…入ったら会えるんじゃないかみたいな感じで行ってみたら、高1でもすごく遅いくらいで(笑)。小学校低学年ぐらいの子がオーディションでずらーっと並んで、「はい!歌って踊って!」みたいな感じでした。私、ダンスのリズム感が本当に死んでるんで(笑)。「ビートを感じて!」って言われても、「ビートって何?」みたいな(笑)。

―――ははは(笑)。

漢那:突っ立って歌っちゃって、やっぱり駄目でした(笑)

―――今と同じスタイルじゃないですか(笑)

漢那:あそこでなんかの間違いで受かってたら、きっと今とは違う音楽に行ってたんだと思いますけど(笑)

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