特集アイコン05このふざけたタイトルは誤字ではありません。今、日本では20代・入社3年以内の若者がリストラの憂き目に遭っています。しかも大半の企業がその事実を認めないため、社会問題にすらなっていないのです。カザーナ、今回はちょっとだけ同世代のために闘います。
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「20代リストラ時代」の到来

人事コンサルタント・城繁幸さんのベストセラー『若者はなぜ3年で辞めるのか?(光文社新書)』。「年功序列と終身雇用という“昭和的価値観”にメスを入れない限り、若者の早期離職に歯止めはかからない」という城さんの主張は、20代若者の転職を「ただの甘え」と断じていた当時の世論に風穴を空ける画期的なものでした。

それまで社会的に問題視されてきた“若者”とは、「ニート」「非正規」「派遣」「貧困」「ワーキングプア」といったキーワードに代表される通り、新卒至上主義の厚い壁の中、社会に出る前から正社員として働く門戸を閉ざされた99年~02年卒の就職氷河期世代のことを指していました。そんな中、同書で展開した城さんの視点が全く新しかったのは、「大学在学中に大企業から内定をいくつも取るような勝ち組エリートの“若者”だって、このままでは相当悲惨ですよ」ということを、日本企業の構造的欠陥を理由に、ハッキリと提示したことでした。

以後、約5年に渡り議論されてきた「大卒の就職ミスマッチ問題」ですが、これについてはリクルートワークス主任研究員の豊田義博さんが昨年12月に発表した『就活エリートの迷走(ちくま新書)』に、問題の本質と解決策が全て示されていることから、詳細は同書にゆずることとします。余談ですが、個人的には今後この一冊を軸として、国と企業と大学、そして個人が問題の収束に当たるべきと断言できる名著だと思います。

こうして議論は進み、道のりは険しいものの、近年ようやく具体的な方向性も打ち出されるようになりました。しかし、城さんが「若者はなぜ~」を上梓してから少なくとも5年近く、この問題は解決策を見出されず放置されていたことになります。そしてこの5年間(06年~11年)とは、実はカザーナ世代のど真ん中(20代後半~30代前半)が大学を卒業してから社会人として最初の3年を過ごした期間に該当するのです。

この「ミスマッチが放置された5年間」で、一体何が起こったのか―。

読者の中にはこの間、自分と会社(もしくは仕事)とのミスマッチに薄々気付きながらも、そうそう転職できる経済状況でもないことから、与えられた環境で自らの使命を全うしようと努力してきた人も多かったのではないでしょうか。決して不真面目だったわけじゃない。むしろ周りの誰よりも頑張って仕事に向き合ってきたという自負すらある。しかし、ミスマッチから生じる違和感や、わずかにある大きな仕事は、上司が抱きかかえて離さないから下りてこないという現実もあり、入社3年経ってもなかなか努力に見合う成果が出ない―。

リーマン・ショック以降、企業業績が急速に悪化する中、一部の腐敗した経営者はそんなカザーナ世代に目を付けました。

「ヤツらは簡単だ。ちょっと締め上げればすぐ辞めるだろう。しかも自己都合で―」

元来切るべき中高年を切りきれず、元来責任を取るべき経営陣が保身に走った一部の日本企業は、徐々にその腐った化けの皮を自ら剥がすようになりました。自分たちの経営責任を棚に上げて、昨日まで「期待のルーキー」だったはずのカザーナ世代に全ての責任を押し付けようとしてきたのです。

調子のいい時は綺麗事を言っておきながら、足元が危うくなると新入社員を含めた若手に全ての責任をなすり付け、自分たちだけ逃げ切ろうとする。口では謝るが決して責任を取ることはなく、辞めさせた社員のフォローなんて当然しない。いや、そもそも辞めさせたなんてとんでもない、現に「自己都合」ではないかと開き直る―。あなたがもし今そんな目に遭っているのだとしたら、その会社は会社などではなく、およそ働くに値しない家畜小屋なのかも知れません。

本誌は今後そういう畜生の群れを「ネオ・ブラック企業」と呼びます。

『カザーナ-CAZANA』今回の特集は、これまでの日本では考えられなかった「20代のリストラ」と、それを恥ずかしげもなく推し進める「ネオ・ブラック企業」の台頭を中心に、カザーナ世代が向かうべきキャリアのあり方に迫ります。

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若者はなぜ3年で辞めるのか?就活エリートの迷走 (ちくま新書)