今回のなでしこジャパンの活躍で注目を浴びたのが、女子サッカー選手のおかれている厳しい現実でした。会社事務やレジ打ちといった仕事をしながら、終業後に練習や試合をこなす―そんな中で圧倒的な成果を残せた理由とは?彼女たちの“世界一の仕事術”に迫ります。
なでしこ力ほまれ



カザーナ世代に求められている「リーダーシップ」の本質

なでしこジャパンのサッカーを観ていてとにかく驚いたのは、練習や試合前に笑顔が見られたこと、楽しそうにサッカーをしていることだった。佐々木監督の人柄がそうさせたのかもしれないが、決勝の舞台やPK戦でさえ、楽しもうとしている姿勢がうかがえた。こういう大舞台を楽しもうという姿勢が、チームの雰囲気を良くし、最大限のパフォーマンスを発揮することにつながったのではないかと思う。

キャプテンの澤がワールドカップ決勝のPKを「苦手だから蹴りたくない」と敢えて最後のキッカーになるという選択したのも、きっとチーム全体を和ませる作戦だったに違いない。このシーンは澤が来ると予想していたアメリカの裏をかいたとも言えるし、若手にこの緊張するPKシーンで経験を積ませたいという配慮もあったのだろう。だが、やはり一番大きかったのは決勝のあの場面で笑顔になることができたことに尽きる。

ここで、自分の所属する会社や組織の雰囲気を思い出してほしい。職場の雰囲気が今より良くなれば、なでしこジャパンのように若い人材の潜在能力を引き出せるようになるかもしれない。では、どうすれば良くなるのか。実はこの問題、我々カザーナ世代がそういうことを意識しながら、率先して職場の環境づくりにリーダーシップを発揮できるかどうかにかかっているのだ。

組織というのはなかなか100%その実力を発揮した状態にはならない。しかしそれに近い状態を維持するためには、まずは雰囲気を良くし、誰もが言いたいことを言い合えるような環境を作ることが重要だ。こうした職場環境の雰囲気づくりは、もう少し上の世代と若い世代をつなぐ橋渡し役という意味でも、カザーナ世代が自発的に行うことができるリーダーシップの最たるものだとは言えないだろうか。

ちなみに澤選手は今年33歳。ど真ん中のカザーナ世代である。



「チーム全体の成果のために、自分には何ができるか」

また、改めてワールドカップの試合映像を見直していると、澤選手だけではなく、なでしこジャパンの選手一人一人が、いかに今回の優勝に貢献していたかが分かる。

例えば丸山選手は以前よりもポストプレーが上手くなったように感じた。ポストプレーとはFWの選手が前線で味方からのボールをキープし、攻撃の起点を作ることである。こういうプレーをすることで味方の選手が攻撃に参加したり、守備の体制を修正したりするための時間を作ることができる。ボールを受けたら簡単に奪われないようにドリブルし、周りの人を活かすパスを送った。自分が何をするべきか分かった状態でピッチに入ることができていた

また、FWの安藤選手や岩淵選手は得点こそ取れなかったものの、相手のボールを奪うために追いかけまわすプレーでチームに貢献した。DFの岩清水選手と熊谷選手は、長身の選手に対してもきっちりと身体をぶつけて自由にさせなかった。サイドバックの近賀選手、鮫島選手は相手に裏を取られるというプレッシャーの中、積極的にオーバーラップを繰り返した。ボランチの阪口選手は澤選手に攻撃に参加してもらうために守備に奮闘した。控えの選手がスタメン選手に水を配ったり、マッサージを手伝ったりした――。つまりそれぞれの選手が、今自分にやれること、やるべきことをきっちりやった積み重ねの結果が、今回の優勝につながっているのだ。

このように「チーム全体の成果のために、自分には何ができるか」を常に考えること。これこそ、我々カザーナ世代が自らの職場で果たすべき「貢献」の第一歩ではないだろうか。

ここで再び、自分の職場を想像してみてほしい。今、自分がチーム全体の成果に貢献するために何ができるのか…。改めて考えてみると、すっかり見慣れた職場でも、できることは色々ありそうだ。

筆者の場合だと、まず自身の生産性を上げることがチームの成果に直結する。また、自分の持つスキルや技術を伝承したり、口頭伝承の技術をマニュアル化したりすることも職場の活性化につながるだろう。もしかしたら溜まった書類を廃棄したり、普段誰も手をつけないような場所を掃除することが、最もチームのためになることかもしれない。毎朝ちゃんと挨拶をして、チームメンバーに声をかけるのも十分貢献と言えると思う。もちろん、コスト削減のため、早く仕事を切り上げて帰ることも貢献に違いない。あなたの職場でも、こういうちょっとしたことでチームに貢献できるような例がきっと沢山見つけられるはずだ。

ただし、利益を追求する企業においては、自分が行う行為が企業にとって利益につながる、チームへの貢献になるということを上司にちゃんと説明できなければいけない。それができなければただの独り善がりになってしまうので、その点には注意してほしい。



夢が実現する「なでしこ型」ライフスタイル

さらに、試合という晴れ舞台だけでなく、日頃の練習に取り組む姿勢においても、なでしこジャパンから学ぶべき点は多い。平日仕事が終わった後の数時間や土日という限られた時間で出来る限りの努力をし、最後まであきらめずにアメリカやドイツに食らいついたことで、ワールドカップ優勝という最大の「成果」を勝ち取った選手たち。そもそも我々には、彼女らにとってのサッカーのように、一生懸命、ひたむきに取り組みたい「何か」があるだろうか?

それは仕事におけるスキルアップでも、趣味を楽しむことでも良いと思う。筆者にとっては英語を学習することやプログラミングの勉強をすることがそれに当たるのだが、なかなか忙しいことを理由に手が付けられていない。また、文章を書くスキルももっと身に付けたいと思っている。仕事が忙しい状況の中でも、平日の業後や休日の時間を有効に活用していくことで夢の実現につなげた「なでしこ型」のライフスタイル。今後大いに見習っていきたいものだ。


notenkihareo
みね/広島県福山市で育つ。趣味はサッカー観戦(テレビ・スタジアム)。サンフレッチェ広島を応援するライトサポーター。
Twitter ID:@notenkihareo