昨年の「もしドラ」フィーバーですっかりお馴染みの言葉となった「マネジメント」。響きはとてもカッコいいんだけど、実際どうすれば…というような人も多いのではないだろうか。

そこで「本家ドラッカーのマネジメントを読め!」などと言ってしまうとこのコラムが早速終わってしまうので、それはあんまりだということで、とりあえずここではマネジメントの初歩と言われている「PDCAサイクル」について自分なりに考えてみたいと思う。
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PDCAサイクルの「本当の使い方」

カザーナ世代なら多くの人がPDCAサイクルという言葉を一度は耳にしたことがあるだろう。そして「ああ、またそれか…」とすでに続きを読む気が無くなった人もいることだろう。だが、どうかもうちょっと我慢して読み進めてほしい。

PDCAサイクルで言われている4つのステップ「Plan:計画」「Do:実行」「Check:点検」「Act:改善」を実現するには、それぞれ以下のような能力が必要である。

① Plan:計画 → 企画力
② Do:実行 → 実行力
③ Check:点検 → チェック能力
④ Act:改善 → 問題解決力

つまり各段階でまったく異なる能力を要するため、これを一人で的確に実行しようとすることは、実際にはかなりの難題だったりする。ましてや得手不得手がある個々のビジネスパーソンがこれを完璧にこなすには、大げさではなく、血のにじむような努力が必要となる。

「え~」と思った人も多いに違いない。だが、心配は無用だ。

冒頭にも書いた通り、「PDCAサイクル」はそもそも組織におけるマネジメント手法の一つなので、実は自分一人で全てをこなすより、チーム・組織としてうまく役割分担ができるのであればその方が効果的なのである。

ここで肝心なのが、まずは「PDCA」の流れの中で自分に最も適しているのはどの役割なのかを把握し、そこから各段階で求められる能力をいかに磨いていくか、ということだ。



PDCAサイクルでみる歴史上の英傑

ここで、自分の適性を把握するためのヒントとして、歴史上の人物(おまけで現在の政治家も)を「PDCA」タイプで分類してみたい。

自分がどの人物に近いかをイメージすることで、「PDCA」の中でどの役割が自分に最も適しているのか、なんとなくは占えるはずだ。(但し、あくまで筆者のイメージに過ぎない点、及び個々の能力については考慮していない点はご容赦頂きたい。)


① Plan(企画)型  例:織田信長、坂本龍馬(小泉純一郎)

●行動の起点…自分が持っている理想・構想を「実現する」こと

信長の場合は「天下統一」であり、龍馬の場合は「倒幕」「海外への進出」であり、小泉氏の場合は「構造改革」「郵政民営化」がそれにあたるだろうか。
  
明確な理想・構想を持って行動する点、次のDoの段階までは比較的高い能力を併せ持つことが多い一方で、その後のCheckやActの段階における能力はやや低い傾向がある。「本能寺の変」「龍馬暗殺」に至る経緯や、小泉政権後の日本の政治・経済においてもこの点の課題が如実に現れているのではないだろうか。   


② Do(実行)型  例:徳川家康、西郷隆盛(小沢一郎)

●行動の起点…大きな流れの中で、自らが行うべき(と考えた)役割を着実に「実行する」こと

信長、秀吉により形作られてきた「天下」を盤石な形に仕上げたのが家康であり、「倒幕運動」の中で、大政奉還から明治政府樹立における流れを築いたのが西郷である。そして、20年前及び2年前の「政権交代」において、小沢氏が果たした役割については言うまでもない。
  
このタイプの人間は、一定の目的を達成することを非常に重視する傾向が強く、実行したことの問題点を把握し、次の手段につなげようとすることから、Checkの段階でも一定の能力を発揮するケースが多い。しかし、自らの役割を達成した後の次の構想、すなわちPlanの段階における意識が希薄になる傾向がある。

明治政府が樹立して以降、自分の新たな役割を見出せなかった西郷が西南戦争を引き起こし、小沢氏の場合は政権交代自体が目的と化し、新政権においてはしばしばトラブルメーカーとなっていることがその例として挙げられる。


③ Check(点検)型  例:石田三成、大久保利通(福島瑞穂)

●行動の起点…これまでに実施された計画及びその取組の「課題・問題点を見出だす」こと

秀吉の天下統一や明治維新の過程において生じた歪み・弊害のチェック及びその対応をしていたのが三成であり大久保であった。福島の場合も、各政権の施策における問題点・矛盾点を常に声高に主張する点では、このタイプの人間といえるだろう。

まず課題・問題点を把握し、これを改善するという思考であるため、次のActの段階における問題解決力も高いことが多いが、自らが新たな構想を考え、実行するといったPlanやDoの段階の能力は比較的低く、さらには前段階にあたるDo型の人間と険悪な関係になりやすい傾向がみられる。

三成に秀吉死後の構想や自らの人望が欠けていたため、関ヶ原の戦いにおいて、多くの味方からの裏切りにより敗北し、大久保も、かつての親友であった西郷と最終的には敵対し、それが遠因となって自らの暗殺という結果を招いている。そして福島氏については…これは今さら説明することもないか(笑)


④ Act(改善)型  例:豊臣秀吉、徳川吉宗(麻生太郎)

●行動の起点…一連の流れにおいて明らかになった課題・問題点を前提として「改善する」こと

秀吉の「墨俣一夜城」の逸話や信長死去後の天下取りの過程、「享保の改革」における吉宗の施策、麻生氏の「郵政民営化の修正」やリーマンショック後の政策、いずれにおいても前段階における課題・問題点を出発点としたものとなる。(吉宗、麻生氏の場合は「必要に迫られて」という部分も大きいが。)

Act型の特徴として、「改善」を思考の前提としており、それを踏まえた新たな構想・計画を策定するPlanの段階についても高い意識を持つ傾向があるが、実行した結果について振り返るCheckの段階については関心が薄く、これにより失敗する事例も多くみられる。

秀吉が自ら統一した天下の基盤の脆弱さを把握できず、結果として死後の豊臣家の滅亡を招いた点や、麻生氏が自らの数々の失言騒動を十分に顧みることなく同様の発言を繰り返したことにより世間の批判を招き、民主党への政権交代を引き起こした点がその例といえよう。



歴史に名を残す偉人の共通点

以上のように、歴史に名を残すような人物であっても決して万能だったわけではなく、むしろ苦手な部分においては失敗も多かったことが分かる。それでもなお、彼らが偉大な功績を残せたのはなぜなのか――それは、自分に欠ける部分を補完し合えるような同僚や部下を存在せしめ、かつ相互に役割を分担できていたからに他ならない。

PDCAサイクルという簡易なモデルではあるが、上の分類をヒントに自分がどのタイプなのかをイメージし、得意な段階の能力をさらに伸ばして頂きたい。また、苦手な段階においては、それをカバーするための方法も併せて考えることで、カザーナ読者がより能力を発揮し、所属する組織を活性化させるきっかけにしてもらえれば幸いである。

YUKI
ゆうき/愛知県で生まれ育つ。現在は県内の某自治体で勤務。世間の公務員バッシングと実際の業務のジレンマに悩みつつも、住民の幸せと自分の幸せの両立を目指し、日々の仕事に励む。
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