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毎年のように参戦していたサマソニ、今年は都合でどうしても行けず…無念。そこで今回は、今年のサマソニで一番観たかったバンドを取り挙げたい。レッチリやストロークス、ティンティンズなど観たいバンドが尽きない中、イチオシはUS西海岸からザ・モーニングベンダーズである。
彼等、実にクセがあって面白い。最近お目にかかれなかった待望の「濃ゆい」バンドなのだ。どこか懐かしさを感じさせつつもDEERHOOFの匂いも嗅がせてくれそうな…そこまで言ってしまうとほとんど偶像に近いかも知れないが、フジロックに出てそうな感じなのに何だかとってもニュータイプなのである。

某音楽チャンネルでたまたま『All Day Daylight』のPVを見たときに、これから来るであろう大きな波を感じずにはいられなかった。その時はちょうど歌詞にちなんだ日本語のテロップが出ていたこともあり、そのクオリティは春夏秋冬の順序をバカ真面目に守りながら、四季の風情をじわじわと醸し出しているかのように見えた。音の効果がプラスチックでパッケージした波紋のようで、強く打ちつけずほのかに音を揺らしながら、安定感抜群の時流をもってその一瞬に漂わせてくれるのだ。そのプレミアム感たるや、もはや“Big Echo”を超えて“The Great Echo”と世界中に向けて高らかに宣言してもいいのではないか!?と思える程なのである。

また、『All Day Daylight』は少々キャッチー過ぎるのであまり感じられないかもしれないが、全体的には僕らを原点回帰させてくれるタイムマシンのような作品でもある。単に過去の栄光にしがみつくのではなく、古き良きものをアレンジしながら新たな創造物として昇華していく事は、彼らにとって結成の地…カリフォルニアのバーグレーで見た美しい夕日が示した希望とイコールだったに違いない。味わい深さを十分に備えていながら、じわじわと明日へのモチベーションが高まっていく作品なのである。

最後に、アルバムのブックレットの言葉を綴っておきたい。

 shouting into a valley
 big shout: big echo
 small shout: small echo


 渓谷に向けて叫ぶ。
 大きな声で叫べば大きくこだまし、
 小さな声で叫べば小さくこだまする。
 ―禅の格言より


きっとSONIC STAGEでもその勇姿を存分に披露していたはずだ。これを読んでいるあなたにも、内なる“BIG ECHO”が届くことを大いに期待している。


路考茶
ろこうちゃ/片田舎の音楽評論家。専攻は「環境と音楽」。中学1年で音楽全般に目覚める(受け専門)。田舎ではどうしてもラップ・レゲエや演歌、歌謡曲しか通じないため、本誌を通して密かにROCKMUSICの雪解けを企んでいる。Twitter ID@my8mountain8hop