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前回、職場内におけるナースの医師争奪戦について書かせていただいたが、今回はそうした類い稀なる優秀ナース以外の、大多数の普通ナースがどのように結婚までこぎつけているのか…彼女らの恐るべき婚活テクニックをご覧いただきたい。

ナースがナースであることを最大限に活用した婚活…それは患者をターゲットにすることである。

この高齢社会において、病院の患者はほとんどが高齢者。じーちゃん、ばーちゃんが多い中、見舞いに来たお年頃の孫を狙うというのは非常に難しい。なぜならこのご時世、そうそう頻繁に祖父母の見舞いに来る孫はいないし、逆に頻繁に見舞いに来てもそれはそれで心配である。

ところが整形外科や耳鼻咽喉科くらいだと、不慮の事故だったり、喘息などの持病持ちだったりということで、比較的若くて活きのいい患者がやってくることも多い。彼氏募集中のナースが狙うのは、ズバリその領域の患者だ。

まず、自分と年が近しい患者が入院してくると、我先にとカルテをチェックする。医療関係者でなければ分からないかも知れないが、カルテには病気の事だけが書かれているのでは無い。勤務先・家族関係・連絡先・既往歴など、ありとあらゆる個人情報がてんこ盛りなのだ。

カルテでターゲットの勤務先(=年収)や、既婚なのか、兄弟がいるのか、住所からおおよその家庭の経済状態、既往歴から結婚する際に重篤な疾患がないか、感染症は無いかなど…結婚の条件として重要なありとあらゆる項目がチェックできる。さらに、何日も入院していればターゲットと母親の関係性や友人関係まで分かってくる。ある意味、職権を駆使したお見合いなのである。

まさか患者の方も、いつの間にか自分がお見合いしているなんて夢にも思っていないことだろう。



ちなみに私が以前勤務していた病院では、優良ターゲットは先輩に譲らなければならないという暗黙のルールがあり、ターゲットと話が盛り上がろうものなら陰でけちょんけちょんに怒られる。

ナース同士も毎日顔を突き合わせていれば、大体他のナースのターゲットが分かってきて、公務員はAさん、大企業や起業家系はBさん…など、ナースの間で勝手に“婚活仕分け”が行われる。ターゲットが決まれば、あとは仲良くなるだけである。巷でも白衣の天使と言われているだけあって、白衣マジックにより騙される男子が続出。コンパで出会ってもパッとしないような女子が、白衣を着ているだけでなんとなく美人に、なんとなく清楚に、ついでに後光まで射して見えてしまうから不思議である。

そんなわけで、あれやこれやと組織ぐるみで堀を固められ、見事交際、結婚に至ったカップルを私は3件知っている。

ちなみに私のようなヒヨッコ看護師は、そんな恩恵を授かることもなければ、うっかり仲良く話をしてしまい陰でけちょんけちょんに怒られる立場であったが、1度だけ退院した若い患者から個人宛に手紙を貰ったことがある。

そこには、「担当になった時に優しくされて好きになってしまった。付き合ってほしいので連絡がほしい」という内容が書かれていた。だが、私がその患者を受け持ったことは無く、たまたま忙しい同僚を手伝って、その患者の手術後に陰部を洗っただけの関わりであった。

もちろん連絡しなかったのは言うまでもない。

大須ぱる子
おおすぱるこ/愛知県出身・在住の現役看護師。幼少期の得意技はとび蹴り。男運悪し。好きなもの、エヴァ・猥談・牛すじカレー。時々白目、時々昇龍拳。