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TPPの参加に賛成?反対? に参加中!
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2011年11月11日。百年に一度のオール1の日に、今後の日本の将来を大きく左右することになる重大な決定が下されました。言うまでもなく、野田首相による環太平洋戦略的連携協定(TPP)の交渉への参加表明についてです。この決定への賛否については、与野党間はもとより与党民主党の中でも賛成派と反対派で激しい対立があることはニュース・新聞などで連日報道されていたとおりですが、さて、そもそもTPPとは何なのか。そして、なぜ参加の是非が「日本の将来を大きく左右することになる」と言われているのでしょうか。

その答えを見つけるべく、TPPをイチから勉強しようと本屋に駆け込み参考書類を買ってしまったマジメな方。ジョギングのついでにもう一度本屋に走り、すぐに返品することをおススメします(本屋さんゴメンなさい)。過去の歴史を紐解けば、すでに一つの指針が出ています。参考書を買うのはその後でも遅くありません。

今からおよそ150年前の江戸時代末期。いわゆる「黒船来航」がもたらした大事件――すなわち「開国」です。

それまで200年余りにわたって海外との交流が(ほぼ)完全に遮断され、中世社会から近代社会へと移り変わろうとする世界的な潮流の中で、まさに起こるべくして起こった事件でした。これ以降、日本は大きな激動の時代を迎えることになるわけですが、この一連の流れが現代日本の構図と重なる部分がとても多いのです。

そこで今回は、幕末期と現在の状況を見比べてみることで、TPP参加後の日本の将来を大胆予測してみたいと思います。


①停滞期から変革期への移行

幕末と現代の日本で共通している点として、それまでに運用されてきた政治・経済のシステムが制度疲労を起こし、破たんしつつある点が挙げられます。

150年前の日本は、度重なる行政改革(享保・寛政・天保の改革などが有名)の実施にもかかわらず、200年以上にも及んだ徳川幕府が財政難に苦しみ、まさに八方ふさがりの状況にありました。これは幕府に限らず地方の各藩においても同様であり、このままでは日本の政治・経済が破たんしかねない、停滞期から崩壊期の段階に向かおうとしていました。

一方、現在の日本はというと、国・地方の借金(国債・地方債)の総額が1000兆円を超え、すでに財政破たんしてしまう地方自治体も出始めています。

また、長い景気低迷により企業等の経済が停滞状況にあるほか、私たちの日常にも関わる年金・医療制度も少子高齢化の影響などにより存続が危ぶまれる事態となっています。

このような国家としての停滞期においては、黒船来航や今回のTPPのように、現状に風穴を開けるような事態が外部から引き起こされることにより、その後の社会・経済・政治は停滞期から混乱へと向かい、そして新たな仕組みの構築に至る大きな変革期が訪れることになります。


②政治・経済の一時的混乱

では、このような変革期を迎えることにより、150年前の日本では何が起きたのでしょうか。

まず、開国に伴って国内のみであった経済市場の規模が突如世界規模に拡大されましたが、この際に諸外国と締結した条約(日米修好通商条約など)は、日本が自由に関税を設定する権利(関税自主権)が否定されるという、きわめて不平等な内容でした。

その結果、生活必需品の海外流出による品不足・物価高騰が起こったほか、海外で大量生産された安価な商品が大量に流入することにより、世界基準でいえば未成熟な段階にあった国内産業に大きな打撃を与えることになりました。

また、開国により海外の知識・情報が入ってきたことで、政治的にも開国への賛成派・反対派の対立、徳川幕府中心の政治に対する反発など大きな混乱を招き、その後の幕末~明治維新という政治システムの大変革へとつながることにもなりました。

このことを踏まえて、150年前の開国と今回のTPPの共通点をおさらいすると、以下の2点が挙げられます。

1)関税自主権・各種規制の撤廃
前述のとおり、150年前の日本では諸外国との条約締結により関税自主権が失われましたが、TPPにおける大きな要素の1つに「参加国間における関税・各種規制の原則撤廃」が掲げられており、すなわち参加国の関税自主権をはじめとした自国経済を保護するための政策が大幅に制約されるという意味で、150年前とほぼ同じ状況におかれることになります。

2)最恵国待遇の存在
150年前の条約の中には、「条約締結後にそれ以上の条件を含んだ条約を他国と締結した場合、自動的にその条件が自国にも適用される」とされる、いわゆる「最恵国待遇」といわれるルールが含まれており、このことが、のちの明治政府における大きな外交課題を生むことになりました。今回日本が参加しようとしてるTPPにおいてもこれと同様の条項が含まれており、この点でも150年前と同様の状況が生じると予測されます。
   
例えば、第一に海外で大量・安価に生産された商品との自由競争が発生することにより、国内産業の淘汰が発生することが考えられます。もちろん150年前とは異なり、すでに日本は海外市場にも進出し一定の地位を得ているので、このことが直ちに日本にとって悪影響になるとは限りません。しかしそれでもこれまで国内のみで成り立ってきた業種・制度は多く存在しているため、これらの業種・制度においては今後は相当厳しい競争や変革を余儀なくされることになるでしょう。

また、現状でもすでにその兆候が見られているのですが、TPP参加の是非やその後の国内産業の成長・保護の政策に対しては大きく意見が分かれています。よって、このことに端を発して近い将来、大きな政治的対立がきわめて高い可能性で発生するものと考えられます。

もちろんこれらのことが、必ずしも全体的な日本の国益上のマイナスになるわけではなく、TPPについても今後の交渉の中でできるだけ日本にとって有利な条件にしていくことが非常に重要な問題となることは言うまでもありません。

今の政治家に対しては、幕末期の歴史を教訓として、TPPの内容を慎重に吟味して交渉に臨んでもらいたいものです。
   

③次世代の人材による制度の再構築

では、このように混乱が生じる可能性が高いという理由で、TPPに関する交渉・参加表明を直ちに打ち切ってもいいのでしょうか。

これについても歴史から紐解けば、今後の日本を担うであろう現在20~30代にとっては必ずしもマイナスばかりとは言えない側面が浮かび上がってきます。

150年前の日本においては、開国をきっかけとした倒幕運動及びその後の明治維新に至る流れの中で大きな動乱の時期を迎えることになりましたが、その間に坂本龍馬、西郷隆盛、大久保利通などといった20~30代の若い世代が数多く歴史の表舞台で活躍し、明治時代以降の近代日本の礎となったという事実があります。

このことは、現代の日本においても同様のことが起こる可能性を示唆しています。

TPPにより大幅な規制緩和・制度改正が行われると、政治・経済をはじめとした各分野において新たな仕組み・制度に対応できない旧来型の人材が淘汰されることになります。と同時に、旧来の仕組み・制度に染まっていない若い世代の人材に大きなステップアップのチャンスが到来することも意味しています。こうした「若手のメリット」についてはなかなか大メディアが報じてくれないので、問題が分かりにくかったのかもしれません。

最後に、幕末の日本が辿った歴史から、今回のTPPへの参加表明により予測される今後の展開をまとめます。

①政治・経済における既存のシステムの大きな混乱・変革期の到来
②20~30代の若い人材(=カザーナ世代)が能力を発揮する機会の拡大


私たち世代に限定すれば、意外と悪くない展開なのかも知れませんね。

YUKI
ゆうき/愛知県で生まれ育つ。現在は県内の某自治体で勤務。世間の公務員バッシングと実際の業務のジレンマに悩みつつも、住民の幸せと自分の幸せの両立を目指し、日々の仕事に励む。
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