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「大人のカラオケ店」を標榜し、これまでのカラオケボックスの常識をことごとく打ち破ってきたパセラ。世界最高の楽曲数60万曲を配信するΣシステムと、ファミレス以上のクオリティと噂されるフードメニューの充実度から、一部マニアの間で叫ばれていた最強説がいよいよ現実味を帯びてきた。そんな同店の旗艦店である新宿本店にカザーナ編集部が潜入!ウワサの店舗クオリティを検証する。

音響:★★★☆☆
カラオケパセラ スピーカーパセラに限らず、都心のカラオケボックス全般の課題として、とにかくほとんどの店舗が音響に最適な空間面積を確保できていないことが挙げられる。部屋数を多くして需要に応えようとすると、一部屋あたりのクオリティが落ちるという悪循環に陥っているのである。特にパセラは近隣他店に比べても狭い部屋が多く、これが音響には少なからず悪影響を及ぼしているようだ。ただし、これはパセラが無策というわけではなく、むしろその店舗コンセプトを死守すべく「あえてやっている」感も否めないため、その理由については後述したい。

また、部屋によってはスピーカーのすぐ手前に梁が出てきてしまっているような所もあり、音響にとっては相当不利な状況が空間計画上まかり通っているのが残念だが、唯一にして最大の救いは、AVメーカーとして評価の高いパイオニアのスピーカーを使用していることである。これにより、音質については聴ける程度に落ち着いている。何より店の雰囲気を重視しているパセラ、さすがに音響には最低限の気配りがなされているようだ。

曲数:★★★★★
パセラ新宿本店 メニューCROSSO、UGAnext、プレミアDAM、UGA+、BBサイバーDAM、Hyper Joy WAVE、V-BeMaX's、孫悟空、カンドーネ、GIGA+LDプレーヤーに加え、業界最新機種のLIVEDAM、更にオリジナル機種「Σmax-S」を加えたカラオケ保有曲数はなんと60万曲(ダブリなしでも25万曲!)と、世界最強の曲数が歌えるカラオケ統合システム「Σシステム」を全室に標準装備。ギネス申請中であることからも、名実ともに世界で最も多岐に渡る楽曲を歌うことが出来る店舗である。しかし、最近ではDAMやJOYSOUNDなど1機種単体でも相当の曲数を扱っている上、統合システムでは「ランバト」や「うたスキ」など各機種ごとに工夫を凝らした機能が一切使えないということもあり、必ずしも曲数が多いことが、店舗力の決定的な差ではなくなってきているようだ。

内装:★★★★★
パセラ新宿本店 内装パセラに入ってみてまず驚いたのは、その凝った内装デザインだ。バリ調の南国仕様で、共用廊下から各部屋まで世界観が統一されており、リゾート気分が満喫できる。部屋に入ると、個室レストランを思わせる照明とソファ。明らかにこれまでのカラオケボックスとは趣向が異なっており、同店のコンセプト「新宿に新しい大人の遊びを提供します」は伊達じゃないことが分かる。実際、東南アジアのリゾートホテルの雰囲気に近いものがあり、国内の別業態で言えばアジアンビューティー系の足裏マッサージ店なんかのイメージだ。カラオケボックスなのにヒーリング系の店づくりなのである。男数人でストイックに歌い倒すというよりは、恋人同士で甘い時間をまったり歌って過ごす…そんなシチュエーションが最も向いているのではないだろうか。つまり、前述した一部屋の狭さも、恋人同士の密着度を増す仕掛けと考えれば納得がいくのである。ドアも小窓が付いているくらいで、競合他店に比べても個室のプライベート感は明らかに高め。カラオケボックスというよりは、カラオケ付個室レストランのつもりで入った方がいいのかもしれない。

食事:★★★★★
バナナハニトーパセラ名物ハニートースト、通称「ハニトー」。今や数種類のバリエーションがあるハニトーの中から、一番人気と言われているバナナハニトーを注文。これが…美味い!アツアツふんわりトーストの上にひんやり冷たいバニラアイス、その上からとろーりチョコレート。カラオケ店のフードメニューとは思えないクオリティ。考えてみれば、カラオケボックスだって立派な飲食店なのである。これまでカラオケに行って「また食べたい」と思えるメニューがなかったことの方が異常だったのかもしれないが、それにしてもこのバナナハニトーは別格。食パン一斤を丸ごと9等分した見た目の大胆さも楽しめる、看板メニューに相応しいインパクトだ。また、ドリンクメニューも充実。アルコールに頼らず、お茶の種類が豊富にあるなど、女性客への心配りが行き届いたメニュー構成が特徴だ。ちなみに、念のため注文したフライドポテトもカリカリで、冷めてもおいしいファミレスレベル。価格も妥当なラインで、文句なしの★5である。

店員:★★★★★
「当店のご利用は初めてでございますか?」とニッコリ聞いてくれる。Σシステムを始め独自路線を貫く同店だけに、最初にこの一言がないと不安な部分もきっとあると思うのだが、ほとんどの初来店客のハートはゲットできるんじゃないかと思えるくらい安心感のあるサービスが徹底されている。パセラはフードメニューもすべてリモコンで選択・注文する仕組みのため、使い方が分からないフリをして店員に聞いてみた(我ながら性格悪い)のだが、説明は丁寧な上、変にかしこまらず親しみのある対応。受付からウェイターまで店員が皆ハキハキ話してくれるので、周りが多少うるさくても声が通って聞こえやすい。きっとパーティールームで大人数を連れてきても迅速対応してくれるに違いない。

料金:★★☆☆☆
★2としているが、これは他カラオケ店との相対評価のため。絶対評価なら★4かもしれない。実際のサービス内容や満足度を考えれば決して高くはないが、やはり用途次第か。会社の忘年会・新年会で大人数の使用を考えるなら、二次会よりもむしろ一次会で、居酒屋の代わりにコースメニューで選ぶということも検討したいところだ。

付帯:★★★☆☆
DVC00207最近はレジであらかじめ退出時間の確認をし、「残り利用時間10分前」を教えてくれない店舗も増えてきているが、パセラはΣシステムの中に“時間経過システム”を内蔵。10分前、5分前、時間超過などをリモコン受信機の表示で教えてくれる。非常に親切な仕組みだ。また、前述の通り食事に自信を持っているからなのか、不味ければ返金するという“味保障制度”を謳っているのも、本誌が知る限りではパセラだけである。お客さんの中には難癖つけてタダにしてもらおうという猛者もいるかも知れないが、実際にはそこでの損失よりも顧客の信頼感を上げる効果の方が絶大なはずだ。

★が3なのは、機種別の採点機能やゲーム機能など、音源メーカー各社がしのぎを削っている付帯サービスの一切が使えないというΣシステムの弊害があるため。これによりどうしてもエンターテイメント性が半減してしまっている。パセラ側もそれを分かっているのか、最近ではDVDの貸し出しなど、Σシステムを介さない付帯サービスに力を入れているようだ。

総評「デートスポットのパセラ」
以上、業界全体で考えても同店のサービスがいかに異色でハイレベルか、お分かり頂けたのではないだろうか。「カラオケに行く」というよりは「パセラに行く」という固有名詞が通用する施設なのかもしれない。確かに“最高”ではなく“最強”を自称するのも頷けるスペックであった。

さて、内装や食事の雰囲気が楽しめ、得意でかつマニアックな曲が見つからないという心配が最も少ない統合システムを採用、一人カラオケで使用するには機能面が貧弱であることを考えると、最もベストなシチュエーションはやはりデートか合コンでの利用ではないだろうか。「超」カラオケBOXの大人空間で、次世代サラリーマンが利用するのに充分な店舗スペックである上に、採点機能がないということは、むしろ歌に自信のない女の子を連れてのデートや合コンではプラスに働くこともある。「歌を歌うのは嫌いじゃないが上手くはない」という女子層をうまく取り込んで、「ハニトー食べにパセラ行こう」を決め台詞に誘いたいところだ。

また、大人数で食事込みのパーティーを行う際にも重宝されそうなので、会社の忘年会・新年会にも適しているかもしれないが、肝心のカラオケ機能及び音響に死角があるため、カラオケパーティーとして成立させるには若干の不安要素がある。いずれにせよ、用途さえ間違えなければ楽しい時間になること請け合いである。カラオケの未来を考える上で避けては通れないパセラブランド。是非一度足を運んでみることをおススメしたい。

総合評価4