
音響:★★★☆☆

曲数:★★☆☆☆
音源機種は主にDAM(第一興商)、JOYSOUND(エクシング)の2種類が設置されている。3機種以上が業界標準と言われる昨今ではやや厳しいか。曲数は機種に準じており、受付で機種の希望を言えば設置部屋に案内される場合もある。
内装:★★★☆☆
共用部の内装は秀逸。階数によりテーマがあり、それぞれ不思議の国のアリス・人魚姫・かぐや姫・白雪姫・シンデレラなど物語を模したデザインが施されている。今回は人魚姫のフロアに案内されることになったのだが、潜水艦を思わせる円形の建具窓など、細かい部分で凝った造りになっており、しっかり予算を張って作っていることがビシビシ伝わってくる。これもまた「必要か?」と言われると、どうなのかということは後に譲るとして、とにかくエンターテイメント空間たるカラオケボックスが内装にこだわることは無条件でプラスに働くのである。

なお、シダックスの各店舗にはパーティールームと呼ばれる大部屋が置かれ、団体客はこの部屋に案内される。忘年会・新年会シーズンに重宝される理由だ。また、店舗によってはスペシャルルームやゴールドルーム(ゴールド会員のみ使用可能)も用意されており、追加料金を支払えばそういった部屋を使用できる場合もあるようだ。
食事:★★★★☆
本来の外食・給食事業を生かし、カラオケだけでなく食事も楽しめるようにと豊富なメニューが揃えられているシダックス。「レストランカラオケ」業態の先頭を走り続けてきた同店だが、近年は競合店の実力も上がってきており、激戦に飲み込まれている格好だ。今回はメニュー1番人気の「メガポテト(680円)」と、渋谷店で人気が高い(と店員さんが言っていた)「海老とアボカドの生春巻き(780円)」を食してみた。メガポテトは5種類のディップから2種類を選択できるのが嬉しい。冷めてもおいしいファミレスクオリティで◎だ。一方、生春巻きも旨いは旨いのだが、ちょっとスパイスの効きすぎたサルサソースが喉に悪そうである。じゃあ頼むなよと言われそうだが、正論過ぎて何も言えない。少なくとも歌に本気な人は頼まないほうが無難だろう。
メニューの量と質を総括しても、レストランカラオケの立ち位置は健在だ。ただし味のクオリティに対して金額が相応かどうかは、後述する「料金」の評価を見て判断してほしい。
店員:★★☆☆☆
決してサービスがいいとは言えない。終了40分前に「残り10分前」のアナウンスをしてきた稀有な店舗である。しかも間違えてアナウンスしておきながら、実際の「残り10分前」アナウンスを2回もしてきたのにはさすがに驚いてしまった。そんなに早く帰ってほしいんかいとプンプンしてしまったわけだが、いずれにせよ店舗オペレーションに根本的な難がなければこういった事態にはならないはずだ。幹事の方、もし同店を選ばれるなら、事前に店舗側に十分な注意を促して臨んで頂きたい。
料金:★☆☆☆☆
たけーよ。
付帯:★★☆☆☆
別段これといって目立った付帯サービスはない。まぁこれも結局「必要か?」と言われるとどうなのかという話になるのだが、パーティールームや大部屋を充実させている以上、コスプレ衣装や楽器などが充実していてもいいようなものだが、それがない。どうもサービスのバランスが崩れてしまっているように思えてならないのだが、カラオケボックスの王道を極めたシダックスのこの状況こそ、もしかすると「コンセプトを決めきれない」業界全体が抱えている問題の本質なのかもしれない。
総評「大箱・パーティー系のシダックス」
以上、シダックスの旗艦店を総括すると、とにかく際立つのが料金の高さである。読者の皆さんには、本誌がこの一言に込めた意味をどうか感じて頂きたい。レシートを見てトムとジェリーばりに目ん玉を飛び出したくなければ、特に土日祝日、一人か二人の少人数では絶対に行ってはいけない。正直、そこまでしてシダックスを選ぶ理由はもうどこにもないではないか、こんなに高いのになぜこんなに混雑しているのかと思わず一人で悩んでしまったのだが、それは単なる本誌の下調べ不足だったと白状してしまいたい。つまりこの店は完全な大人数型、パーティー型だったのである。2~3人で歌い倒すのではなく、10人以上で食って騒ぐのに特化した業態なのである。
だが、その割には付帯サービスも弱いし、機器選定も含めて音響にはもう少し気を使ってほしい。現在CMではなでしこジャパンを起用するなど「大箱・パーティー系」を殊更アピールしているようだが、これはある意味特徴のない「王道型」から「コンセプト型」に脱皮したいというシダックスの覚悟の表れとも見て取れる。これまで「特徴がないことが特徴」などと揶揄されていたシダックスだが、これからコストダウンやサービスの向上が行われれば、王者の復権も決して不可能ではない。今後の事業展開に注目したい。
