伊勢うどん/ふくすけ(おかげ横丁)
サムライ*ランチ、今回は番外編。年末年始に相応しく、「日本人の心のふるさと」伊勢のスタンダード・ランチをご紹介したいと思います。来年を本誌の更なる飛躍の年とすべく、カザーナ編集部、なんとお伊勢参りに来ているのです!

かつて伊勢神宮を参拝した真のサムライ達が、その行き帰りで食したという伊勢うどん。「日本初のファーストフード」と言われているこれを食べずして、サムライ*ランチは語れません。

伊勢うどんは、その名の通り三重県伊勢市を中心に食べられている極太うどんです。 たまり醤油に鰹節やいりこ、昆布等の出汁を加えた、黒く濃厚なつゆ(タレ)を、軟らかく煮た極太の緬に絡めて食べるものなのですが…ここで私は伊勢うどんに陳謝しなければいけません。

実は今日までこの「うどん業界最強」とも言われる濃厚なタレの色(そばつゆとは別物だそうです)から、相当な塩辛さを覚悟していたのです。しかも麺を茹でる時間が非常に長く、通常のうどんが15分程度であるのに対して1時間弱ほど茹でる(!?)と聞き、「なんで450円も出して塩辛くてコシのないうどん食べなあかんねん」と思っていたのでした。

ところがこの伊勢うどん、確かに濃い目の味ではあるものの、後味はとってもまろやか。もちろん店によって味に違いがあるものの、とにかくあっさり系で食べやすい!見た目は辛そうですが、むしろコクのある甘さが際立ちます。後に残ったわずかな濃褐色のつゆを最後まで飲み干すのが伊勢うどんの流儀らしく、後から喉がすごく渇いたりとか、正直ちょっと心配していたのですが、その後もそういった事態に陥ることもありませんでした。さすが長旅の行き帰りにもてなされた味、そういった参拝者への配慮も成されているのでしょうか。

また、徹底的にコシをなくした極太麺は恐ろしいほど柔らかくモチモチ。太さもハンパではなく、イメージとしてはきしめんの太さにそのままうどんの厚みを加えた勢い。ど太く、柔らかく、濃厚色の伊勢うどん。コシの強さとさっぱりしたつゆが持ち味の讃岐うどんとは全くの対極にあり、丸亀製麺に親しんだ本誌読者はきっと面食らうに違いありません。

この一般的なうどんとかけ離れた伊勢うどんの特徴がどうして生まれたのか、少し調べてみました。

お伊勢参りで混み合う客に次々さばけるよう、常に茹で続け、必要量を釜揚げしていたため、茹で時間を気にしなくてよいコシのないうどんが適していたという説。また、神宮へ長旅をしてきた人向けの食事として江戸時代に開発された料理であり、疲労が溜まった人向けに消化のよい柔らか麺になったのではないかという説など諸処あるようですが、そこは日本のファジーな文化。どちらか一方の説を支持するのはナンセンスと言えそうです。実際にはそういった商売上の利点と職人の真心が混然一体となった結果、今のスタイルになったと考えるのが自然ではないでしょうか。

特にこの『ふくすけ』は、伊勢神宮の隣にある『おかげ横丁』のほぼ中心に位置しており、お伊勢参りの行き帰りに立ち寄れます。また、江戸時代から「生きているうちに食わなければ、死んで閻魔に叱られる」と言い囃されるほど人気だった伊勢街道沿いのうどん屋「豆腐六(どぶろく)」をイメージしているらしく、観光地としてもおススメです。旅の風情を感じられる店舗で、お伊勢参りを存分に楽しんでみて下さい。

それでは今日も、手と手を合わせて、いただきます!