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久しぶりの投稿である。忙しさに理由をつけてなかなか筆が進まなかったのだが、新年早々、センセーショナルに響き渡るとてつもないバンドに出会ってしまった。性分として、これを紹介しないわけにはいかない。

オーストラリアはメルボルンの4ピースバンド、The Jezabelsである。

iTunesで初めて巡り会えた時の衝撃は今も忘れられない。3枚のEPをリリースした後、満を持して市場に解き放たれたフルアルバム『Prisoner』。80年代のポップカルチャーを巧みにパッケージングしながら、決して固定観念に囚われることのないその色鮮やかなサウンドは、リスナーの身体中をJezabels色に染めあげるかのようなエネルギーに満ちている。Youtubeで『Try Colour』のPVを是が非でも観て頂きたい。2012年に相応しい新たな音楽的地平を切り拓いていく可能性を、きっとそこに確かめることができるはずだ。


オーストラリアという雄大な自然を持つ大陸に拡がっていくようなHayleyの伸びやかなヴォーカルは、僕にとってThe CranberriesのDorlesのパワフルで圧倒的なヴォーカルを彷彿とさせる。いや、それすら凌駕する可能性を備えていると言っていいかもしれない。ただ単に上手いだけではなく、曲によってヴォーカルのトーンを、信じられないくらい器用に使い分けているのだ。しかもその1ミクロンの誤差も感じさせない機械的精密さの中に、逆に最も人間らしい繊細さを宿してしまった切なさがたまらない。また、ファルセットも曲によって効果的な使い方をしている。その実力は、ある友人にThe Jezabelsの音源を聴かせたところ、「見事に美しいメタル・バンド」と評して、そのまましばらくうっとりしてしまったほどだ。ジャンルは決してメタルではないのだが、かつて大陸を開拓した先人たちの魂が乗り移ったとしか思えないような重厚かつ予見的なサウンドには、そう言わせるだけの内に秘めた力強さがあるということだろう。

そして何より驚きなのは、このクオリティを、メジャーなレーベルやレコード会社のバック無しで自ら創り上げてしまっていることだ。結成間もないバンドとは思えないくらいの堂々とした存在感をすでに放っており、まるで土壌に強固な根を張っていこうとする植物のように、曲が持つ色や匂いを、瞬間の内にリスナーの脳裏にとどまらせていく。

まだまだ知名度はこれからといったところだが、必ずや近い将来フジロックやサマソニなどで来日してくれるはずだ。その可能性に期待したい。

路考茶
ろこうちゃ/片田舎の音楽評論家。専攻は「環境と音楽」。中学1年で音楽全般に目覚める(受け専門)。田舎ではどうしてもラップ・レゲエや演歌、歌謡曲しか通じないため、本誌を通して密かにROCKMUSICの雪解けを企んでいる。Twitter ID@my8mountain8hop