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そろそろ中学受験のシーズンが終わろうとしているが、この時期、私の職場は完全に冷え込んでいる。なぜか。それは、今年も志願者数の減少に歯止めが掛からず、学園の生徒数が減ることが確定しているからだ。と同時に、今年こそ給料が減るかもしれない、賞与がなくなるかもしれない…と、自分の生活の心配をすることになる。教師といえども実態はサラリーマンなのだから仕方がない。

この前、開成など名門校の入試問題を見ながら、自分自身「こんな問題を本当に小学生が解けるのか?」と思わずにはいられなかった。少なくとも自分のところの生徒に受けさせたら、ほとんど解けないに違いない。名門校に入学した子どもたちは、中・高の6年間でいったいどんな勉強をするのか。ちょっと想像できないくらいだ。

少子化の昨今、同じ私学でも経営が順調なところもあれば、危機的なところもある。前述した開成などの名門校には相変わらず多くの受験生が集まるが、そのような学校はほんの一握りである。特に大都市以外の地方は公立志向が強く、私学にとっては厳しい環境が続いている。完全な二極化傾向だ。

そのような状況の下、全国の学校がしのぎを削って生徒の獲得競争に躍起になっている。ある学校は有名大学への進学率を上げ、またある学校は部活動での実績を上げ、さまざまな特色を前面に打ち出して自分の学校を必死でアピールしている。少子化傾向が顕著になり、争いは激しさは増す一方だ。

実は自分のいる職場は、このようなアピール合戦の風潮に乗り遅れてしまっている。有名大学の進学率が際立っているわけでもなく、部活動で全国レベルだと胸を張って言えるような実績もない。何がウリかと問われても答えに窮してしまう。こんなことだからここ数年、志願者数が右肩下がりなのだ。



さて、こうした各学校のアピール合戦のキャスティングボートを握っているのが学習塾である。塾は説明会を主催したり、進学指導の中で有力な学校を紹介したりしている。人気のある学校はもちろん問題ないのだが、人気のない学校に対する塾の態度は露骨にヒドい。ある塾では「***は絶対に受験するな」とハッキリ指導しているらしい。

ただ、現場の人間だからこそ、そのような塾の指導も理解できてしまうのが哀しいところだ。確かに、未来ある受験生に自分のいる学校をオススメすることはできない。学習面はもちろん、風紀など生活面も良くないし、人間関係もゴタゴタしている。その一端を前々回書かせて頂いたが、実情はあんなものではない。その一般には信じ難いだろう詳細を、次回以降さらに明らかにしたいと思っている。

中学受験を考えている保護者に、この場を借りて訴えたい。中途半端な私学に決して子どもを入れてはいけない。「受けてはいけない私学の特徴」とは、逆説的に、特徴のない私学は受けてはいけないということである。中途半端な私学よりは、公立の方が良いことも十分あり得る。そして、進学塾の「***は絶対に受験するな」という声は99%信じていい。断言するからには、何かある。

火のない所に煙は立たないのだ。

はくぼく太郎
はくぼくたろう/現役女子校教員。趣味は徘徊。でも夜回りはあんまりしない。ちなみにヤンキーでもない。この連載は、言いたいことも言えないこんな世の中に向けた、同世代への贈る言葉。