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東日本大震災の発生から1年が過ぎた。この震災によって、日本中の学校に災害対策について深く考えるきっかけが与えられた。例えば「地震が起きたらどのように避難をするのか」「食料の備蓄であれば3日分しっかりとあるのか」など…私立公立を問わず、各校があの日以来、防災対応に追われることになったはずだ。特に被災地の学校などは、公的な避難場所に指定されていながら、建屋丸ごと津波に遭っているケースも決して珍しくなく、そこに逃れた多くの人たちの尊い命が奪われているという厳しい現実がある。公的な避難場所の信用力が失墜したという事実を今後どう考えるかということも、学校を運営する側にとっては重要な課題となるに違いない。

震災当日、首都圏では電車が不通となり帰宅困難者が多く出た。これは子どもたちも同様であった。ある学校では下校できる生徒は下校させ、下校が無理な生徒は一晩を学校で過ごさせたという。

最近の中学受験向けの進学雑誌では、防災対策に関する各校へのアンケートが実施されていた。やはり保護者としても、子どもを預ける学校が万全の体制であるかどうかが「学校選びのポイント」として重要視されるようになってきたということだろう。

さて、具体的にいろいろな学校の話も耳に入ってきている。ある都内の学校では備蓄食料の賞味期限が切れていたらしい。どうやら「地震なんてそうそう起こらないっしょ」という学校側の甘い認識が生んだ問題のようだ。では、だからといってこの災害対策、いったい学校はどこまで詰めておくべきなのだろうか。どこまでを「学校側として万全の対策」とするのか。命を守るということであれば、その責任には際限がないが、素人の教員にできることなんて所詮限られてくる。発生後の適切な避難指示くらいならまだしも、避難生活となると、さすがに教員だけのキャパシティーでは無理だろう。

公立学校であれば、自治体の避難先に指定されているから支援物資も存分に入ってくるだろうが、私立学校は自治体の避難先に指定されてはいないので、支援物資がしっかり入ってくる保証はない。生徒だけならまだしも、近隣の住民も避難してきたら、どうすればよいのか―。

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とにかく3・11以降、学校における災害対策は重要かつ喫緊の課題となったことは間違いないだろう。かくいう私のいる学校でも、「このマニュアルじゃ対応できないのではないか?」「このマニュアルは現実に即していない」など、職員会議で既存の仕組みに対する批判が噴出した。もちろんそれ自体はいいことなのだが、会議でこのように積極的な発言をするのは、実はおおむね防災関係の仕事がない人だ。自分の仕事でないからこそ、言いたい放題言える。結局、仕事が増えるのは防災担当の教員だ。ただでさえ多忙であるのに、それに加えて防災体制の見直しとなると、対応は途端に重々しくなる。これが現実だ。

防災体制の見直しに限らず、私の職場では、各教員に少しでも負担になるようなことがあれば、どんな問題でも消極的な姿勢を見せられるのが常である。だが、今回の件は学園全体の姿勢が問われているわけで、そんな悠長なことを言ってはいられない問題のはずだ。まったく当事者意識が低過ぎて、同僚として情けない限りだ。

「学校側が自主的に取り組み得る」「より安心できる最良の防災体制構築」のためには、利害が絡み合う素人同士の防災議論は、はっきりいって不毛だ。いっそのこと、全体を鳥観できる防災の専門家やコンサルタントを雇って、現実に即したしがらみのない防災体制をつくりあげた方が余程マシだと思うのだが…。

少なくとも自分は、こんな学校に避難したくはない。

はくぼく太郎
はくぼくたろう/現役女子校教員。趣味は徘徊。でも夜回りはあんまりしない。ちなみにヤンキーでもない。この連載は、言いたいことも言えないこんな世の中に向けた、同世代への贈る言葉。