日本漂流
【読者の皆様へ】
この記事は、livedoorブログ奨学金の奨学生ブロガー7人による共同企画「正力・原発、日本の漂流」の一環として書いています。ブロガーのテーマは様々ですが、一つの企画で書くことで、何か見えてくることがあるのではないか?そんな思いで始まりました。

明日4月4日は、「まんがで気軽に経営用語」さんです。


いきなり暴露

実はこの企画、元々はタイトル「日本の漂流」とは似て非なる、もう一つの核となり得るテーマがありました。身も蓋もない暴露ネタですが、しれっと続けます。それは本企画の発起人でもある「野球の記録で話したい」の広尾氏によって、7人のブロガーに配られたある機密文書にはっきりと記されていたのです。

夜も更け、閑散と静まり返ったNHN Japan カフェスペース、通称「ヌフン珈琲」。このオシャレ空間にどう考えても溶け込みようがない怪しげなブロガー7人が、ある日無駄に集結。その怪しさたるや、明らかに世界征服を画策する秘密結社の様相です。放置しておくにはあまりにも危険過ぎる雰囲気です。通報されなかったのが不思議でなりません。こんな珍獣共を放し飼いにしているヌフンは本当に粋な会社です。

そうした異様な雰囲気の中で始まった企画会議でしたが、とにかく広尾氏の配布資料があまりにも面白かった。そしてこれこそが本企画の初期衝動に違いなく、それはまるで生娘のような柔肌、言い換えれば「永遠のデビューファーストアルバム」を目指す本誌としては、この第一級の資料を前に内輪でお茶を濁し、みすみす反故にするわけにはいかないわけです。

そして何より、これを賢明な読者の皆様に見て頂くことで、このリレー企画の全体像をより明らかに出来るはず。

というわけで、本邦初公開。これがその配布資料です!!

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え、何、読めない??

なんとか凝視してください!視力が3.0以上なら見えるはずです!あなたの肉眼マクロ性能を最大限駆使してください!とは言え、残念ながら視力2.0以下のあなたにも、この資料のタイトルと、この資料が年表であることは見て取れると思います。実際、僕もそのくらいしか分かりません。


佐野眞一が見つめたのは「日本人の劣化」

この資料は、ノンフィクション作家・佐野眞一の代表作である「巨怪伝」の正力松太郎(プロ野球の父・民法の父・原発の父)、「カリスマ」の中内功(ダイエー創業者)、「あんぽん」の孫正義(ソフトバンク代表取締役社長)を同軸上で捉えた年表なのです。

このファイルでは読めそうにない本文を、以下で少し補足します。


1970年、高度成長期のひずみ、政治のゆがみを鋭くえぐったのは立花隆だった。

1980年代、第二次世界大戦という大きな傷跡から血を流し続けながら成長を続けた「昭和」の終焉を記録したのは猪瀬直樹だった。

そして平成。バブルに浮かれ、その終焉とともに実に二十年余の長い停滞期を迎えている日本を、スキャンダラスに描き続けたのが佐野眞一だ。

佐野は、正力松太郎、中内功、孫正義という時代を築いたの3人の人物を描くことで、戦後日本がどのように作られ、どのような変容をしていったかを描いた。



佐野眞一は、ここ半世紀ほどの間に「日本」という国が大きく変容し、「日本人が劣化」したことに気づき愕然とする。

佐野眞一は「日本人はなぜ劣化したか」「どうなっていくのか」を追いかけている。しかしその手法は社会正義を振りかざすものではなく、怪しげなもの、邪悪なものを独特の嗅覚で探り当ててほじくるという手法に徹している。

「耳が勃起する」という言葉で佐野はスキャンダルの魔性の魅力を表現する。善悪でも損得でもなく、「耳を勃起させたい」ために佐野眞一はドキュメントを書き続けている。

彼の著作の後ろには、「日本人」が死屍累々としている感がある。


いかがでしょうか。もうお分かりのことと思いますが、佐野眞一クラスになると、耳も勃起するのです!…ということではなくて、この企画の初期衝動は、佐野眞一氏がこれまで描いてきたのは「日本人の劣化」ではないか、さらには日本人の「死屍累々」ではないかという広尾氏の見解から生まれたのだということです。

この企画会議の後、広尾氏は「現在の状況を劣化だと決め付けるのは、共通テーマとしては刺激が強すぎるかもしれない」とし、「劣化」をあえて「漂流」と書き換えました。広尾氏は意外と(?)思慮深いのですが、僕はなりふり構わぬ目立ちたがりのヒールなので、遠慮なく反則技で応戦することにしたというわけです。

確かに、参加ブロガー全員の共通テーマとするには「劣化」より「漂流」の方が汎用性があり、適切な表現には違いありません。しかしここで声を大にして主張しておきたいのは、佐野氏の代表作である正力松太郎・中内功・孫正義という3人の歴史を時系列に追ったこの年表が画期的であると同時に、「日本人の劣化」の歴史ではないかという広尾氏の主張自体、僕自身いささかの違和感もなかったということです。


なぜ日本人はかくも劣化したのか

というわけで前置きが死ぬほど長くなりましたが、今回の企画、カザーナはあえてこの“裏テーマ”を掘り下げたいと思います。すなわち、なぜ日本人はかくも「劣化」したのか。いや「劣化したように見える」のか―。本誌はその切実な批判こそ、現代のサラリーマンに向けられるべきものだと考えます。

なぜなら現代において「日本人」とはその大多数を占める「サラリーマン」のことであり、「日本人の劣化」とは、すなわち「サラリーマンの劣化」に他ならないからです。そして正力・中内・孫の各世代によって、「日本人」の概念が全く異なっているという決定的な事実…。次回はそんな話から、性懲りもなくちょっと真面目に、サラリーマンの劣化と次世代サラリーマンのあるべき姿に迫ってみたいと思います。

明日4月4日は、「まんがで気軽に経営用語」さんです。
さえぐさ編集長
さえぐさへんしゅうちょう/1981年愛知県生まれ。南山大学総合政策学部卒。本誌編集長。
Twitter ID: @_SAEGUSA