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入学式から1ヶ月が経過した。そろそろ新入生も学校生活に慣れてきたところだろうか。進級して勉強の多さに戸惑ったり、上下関係の厳しさに直面したり、いろいろな壁や戸惑いを経験した1ヶ月だったに違いない。

さて、今回は学校行事の中でも一大イベントである『体育大会(運動会・体育祭)』に焦点を当てて話をしてみたいと思う。女子校の体育大会と言うと、迫力に欠けるという印象があるかも知れない。確かに男子のように体は大きくないし、迫力のある種目も少ないように思える。例えば男子がいると、組み立て体操や騎馬戦など、一歩間違えれば大ケガという臨場感(?)があるが、特にお嬢様学校の女生徒は普段から部活動に熱心ではないので、体付きも比較的幼いことが多い。高校の体育大会であっても、中学生の種目かと見間違うこともあるくらいだ。

ただ、客観的には迫力に欠けるかも知れないが、当の子どもたちは熱心に取り組んでいる。いや、熱心を通り越して、もはや死に物狂いの形相で取り組んでいる。何にそこまで必死に取り組んでいるのかというと「応援合戦」である。歌やダンスも交えているので、これを覚えるのに皆真剣なのである。普段の休み時間、そして放課後、ある時は部活動の時間を削り、さらには勉強の時間を削り練習に取り組んでいることも珍しくはない。何がそこまで彼女らを焚きつけるのか…。



女子校の体育大会の種目は、言ってしまえば“お遊び系”の種目が多い。玉入れ、障害物競争(ハードルではない)、二人三脚、綱引きなど…典型的な陸上競技と言うよりは、いわゆる「運動会」の様相だ。しかし、これらの競技であっても、当然のように練習はハードである。ある時は、練習であまりに無理をし過ぎて大怪我をしてしまった生徒もいた。部活動でケガをするならまだしも、なぜ体育大会でそういった無理をするのか。きっと生徒にとって「体育大会>部活動」という気持ちがどこかにあるのかも知れない。

また、体育大会の運営は、建前上は生徒主体ということになっている。会場のセッティング・審判・放送など、生徒が中心となって運営をすることになっている。生徒は概ねよく働いてくれる。ただ、一方でよく問題が起きる。審判を担当する生徒によってフライングやコースのはみ出しなどジャッジの基準があいまいなのである。これが原因で生徒同士の衝突が起きることもよくある。さらに、感情が抑えきれない生徒は教員に暴言を吐きながら詰め寄ってくる。清く正しい女子校のイメージとは到底かけ離れた光景がしばしば垣間見られる。こういった、言わば“乱闘騒ぎ”も、生徒たちにとっては体育大会という「祭」がもたらす非日常体験であるに違いない。

なお、余談ではあるが、女子校の体育大会に乗り込んでの写真撮影は厳禁である。100%盗撮と見なされる。毎年、そのような輩が来ているので教員も注意深くチェックしている。カザーナ読者の方々は、是非覚えておいて頂きたい。

はくぼく太郎
はくぼくたろう/現役女子校教員。趣味は徘徊。でも夜回りはあんまりしない。ちなみにヤンキーでもない。この連載は、言いたいことも言えないこんな世の中に向けた、同世代への贈る言葉。