労働組合
現在、あなたの属する会社・団体に労働組合はあるだろうか?会社に労働組合があり、あなたも組合員である場合は、トラブルが起こったらまずは労組に相談するのが基本だろう。

しかし、ひとつ注意が必要だ。それはあなたの労組が「御用組合」である場合だ。労組の役員は出世する、組合員の利益を無視するようなことばかりしている、といった場合は、残念ながらその労組に相談しても無駄である。

労働組合は、時代に応じた役割転換ができていないために、その存在意義が疑われている代表的な組織だ。

労組の組織率は官民問わず大きく下がっている。19世紀以降、個々の従業員の立場は弱くなり、一人では経営側に主張しにくくとも、集団となれば交渉が可能になるということで組合を作ったわけだ。経営側も、個別に対応するより集団の中で意見を集約してもらった方が対応も楽だということで、効率的ですらあった。法人が必要とする人材だからいるわけではなく、エージェントと考えるとわかりやすい。

労使間での成果の配分を巡る交渉は、パイ全体が大きくなっていた90年代初頭までの方より、現在の方がよほど熾烈なはずで、こういう低成長時代こそ労組の存在価値は高くなるはずだ。ところが、支持を得ない。

なぜなら、彼らはいまだに労使問題とは関係の薄い政治問題にも関わり続けている。契約途中で雇い止めにあったり、加入義務がある社会保険に未加入のまま働かされるなど、ギリギリのところまで虐げられている労働者にとって、昨今の労組が掲げている「平和」「反原発」というスローガンが、自分たちの利益につながるとはとても思えないだろう。

また、いまだに正社員以外の労働者を完全に対等な関係であるとは認識していない。一部では、非正規労働者も組織に入れるようにしようという動きもあるが、あくまで周辺的な活動に過ぎない。

ではなぜ、このような時代錯誤な状況が続いているのだろうか?


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労組が時代から取り残されている1つの要因は、彼らが経営者側に比べても圧倒的に国内志向で、世間を知らないことにある。

ヒト・モノ・カネの活用方法、非正規労働者の増加への対応方法や、大組織のガバナンスのあり方など、経営者側は労使問題に対して日常的に目を配っている。

一方、労組はリーマンショック直後に生活費が上がったという理由で賃上げの要求をして、経営者側からだけでなく、労働者側からも嘲笑されるなど、マーケティングという概念さえ理解せず、交渉のビヘイビアを完全に間違えている。

もちろん深刻な労使関係を抱えるブラック企業は山ほどあるだろうし、ここまでの議論で、全く状況が違うという人もいるだろう。あくまで上記はガチガチの企画管理系ホワイトカラー型の職場である我が社の問題としての話だ。

給与の獲得が「労働者の自由を犠牲にしている」のであれば、ベアや手当の増加を訴えるのではなく、同じ対価で得られる「時間」の増量、つまり、労働力が組織化されていることを活かして、業務上の非効率の排除、教育等に組合活動の重点を置けないものだろうか。

採用数の増加自体には即効性が無いので、短期的には社員の生産性向上と管理者の能力向上(そのインセンティブとなる管理職の懲戒制度)しか無いだろうし、強制性を有さないと何の意味も無い。劇薬にはなるだろうが、分かりやすい成果を上げるとはそういうことだ。

また、我が社でも労働時間の削減が課題だが、現状の労働組合にはまるで期待できない。我が社に限ったことかもしれないが、理論知らないで発想だけで解決しようとするから、労使どころか労労でもなかなかまとまらないし戦略がない。コスト負担させられてる身としては堪ったものではない。

それに、デフレ経済下では実質賃金が同じでも企業の相対的な賃金コストの負担は大きくなるので、据え置き交渉はベアと変わらない。ただ、過重労働のことだけ言えば、理論上は割増賃金の増加割合を増やす方法もある。割増賃金が労働者への慰労だと思っているなら、法制を浅く評価し過ぎだと言わざるを得ない。

時代の要請に応じて使命を定義し直せば生き残れる組織も、過去から続く行動や考え方を頑なに変えたくないというのなら、「存在意義自体が不明」という時代の審判を受ける日が遠からずやってくるだろう。

労働組合復権に向けては、組合が断じて政治団体ではなく、労働者の権利保護団体であることを明確にし、最も搾取されている労働者層を支持基盤とし、カザーナ世代が求めるライフスタイルを理解・支持して経営陣に要求していくことが必要だ。それができれば、労組の存在意義を感じる人は、その昔彼らが隆盛を誇った時よりも多くなるに違いない。

てぃーる
てぃーる/静岡県出身。みちのくから花の大江戸へ転勤のもはや中堅と言われてしまうサラリーマン。炎のジャン拳に惨敗し労組役員となった三十路前。まあ、やるからには創造的破壊を推し進めるのみ!果たしてどうなる!?