三田製麺所つけ麺
「何ということだ…この味をチェーン店がやってのけるのか…!」いきなり大げさな、と思われるかもしれませんが、嘘だと思うなら食ってみたらいいんじゃないでしょうか。いやあ、今日の侍ランチは挑発的ですね。そのくらい、今回紹介する三田製麺所は、チェーン店の常識を覆す革新店舗だと言いたいわけです。

同店のつけ麺を初めて食べたのは、忘れもしない神田店。「白看板&長屋づくり」という今風の "千と千尋的な" もしくは "中からやたら濃いババアが出てきそう的な" 店構えに、ついうっかり魅了されて入ったのが事の発端でした。

思えば、チェーン店のつけ麺にはこれまで幾度となくヤラれて来ました。どの店も「バリエーションの一つ」という位置づけでしかなく、どうしても本気度が伝わってこない中途半端な作りであることが多かったものです。

ところがこの三田製麺所の味はと言うと…魚粉と濃厚つけダレのライトクロスカウンターが何とも香ばしく、極太つけ麺とつけダレのハーモニーが最後まで存分に楽しめるとんでもないクオリティ。中の角切りチャーシューも固くなく柔らか過ぎず、本当に美味としか言いようがありません。な、なんだ…圧倒的じゃないか。こんなのチェーン展開されたら街場のつけ麺専門店が太刀打ちできるはずもない…。

しかも看板商品のつけ麺は並(200g)・中(300g)・大(400g)・特大(500g)の4種類あるのですが、なんと大までは同価格の700円!200gと400gが同価格ってどういう構造なんだろうと思われるかもしれませんが、おそらくこの極太麺1本で勝負しているところが、この店の収益構造のキモなのでしょう。これがよくあるチェーン店同様、麺の種類にバリエーションを持たせてしまったらこんな芸当はできないはずです。

ただ、だからといって、調子に乗っていつでも400gを頼めばいいというものでもありません。大食い王を除く一般的なサラリーマンにとって、つけ麺400gの破壊力は想像を絶するものです。何とか食べきったとしても、つけ麺で満たされた胃袋の容赦ない消化行動によって、以後しばらく脳細胞が完全に機能停止に陥ること必至。バカな。一時の満腹感によって午後の仕事に支障が出てしまうのは侍ランチにあるまじき行為!ここはグッとこらえて、どうにか腹八分に収まるよう、貴方の参謀であるスタマックとの報連相を欠かさず行うべきでしょう。

ところが…ところがですよ…。これだけ非の打ちどころがない「究極のつけ麺チェーン」三田製麺所には、魔物が住んでいるとしか思えない現象が、筆者のような真面目なサラリーマンを襲います。どれだけ事前準備を重ねて臨んだプレゼンでも失敗することがあるように、理屈では分かっていたとしても抗いがたい現場の魔力…それが、先述した「並・中・大が同価格」という悪魔的(?)サービスなのです。

店に入る直前まで「今日は200gを選ぶぞ」「絶対200gだぞ」「おれは並だ、所詮並のサラリーマンなんだ」と自らに言い聞かせ、念じながら席に着いたにも関わらず…次に我に返った時には300gのつけ麺が目の前に出されていたことは一度や二度じゃありません。そして食っていくと、200gを超えたあたりで必ず「ちょっと多かったかな?」などと思い始めるも、旨過ぎるので残すはずもなく、割りスープまでしっかり飲み干し、意気揚々に会計を済まして店を出た瞬間、眩暈がするほどの圧倒的眠気!いやあああ!午後からの仕事が!商談が!

「アホか」と思った貴方。筆者と「意志の弱さ比べ」をする絶好の機会だと思って、お近くの三田製麺所に何度か足を運んでみてはいかがでしょうか。食べた後で眠くなったら負けですよ。2012年10月現在、都内13店舗・大阪2店舗と、まだまだ数は多くありませんが、筆者は「つけ麺界の丸亀製麺」になるはずだと密かに期待しています。

それでは今日も、手と手を合わせて、いただきます!