石原慎太郎氏が都知事を辞職、統一会派「日本維新大連合」を立ち上げたことで、いよいよ自民・民主の2大政党に加えて第三極の台頭が現実味を帯びてきた。第三極は東京・愛知・大阪の首長を中心とした「都市連合」になる目算が高いとされているが、この潮流、実はちょうど20年前の1992年に、経営コンサルタントの大前研一氏らが発足した「平成維新の会」から始まっていたということは意外と知られていない。

私は、今から20年ほど前の1992年に「平成維新の会」を立ち上げ、我々の政策に賛同した108名の候補者を93年の総選挙で推薦して83名の代議士を誕生させた。だが、いくら選挙で一大旋風を巻き起こしても、誰も現実に政策を実行できなかった。個々の議員ではなく政党がそれを拒否したからである。

そこで、私は「新・薩長連合」と題して知事連盟による平成維新を目指し、自ら95年の東京都知事選挙に出馬した。しかし、あえなく落選し、以来、政治の世界から足を洗って今日に至っている。

地方の首長経験者から総理を選ぶという「知事リーグ制」を提唱し、平成維新を目指した大前氏だったが、当時バブル崩壊直後の社会情勢の中では急進的過ぎたのか、その意義が浸透することはなかった。時代が変わり、日本を変え得るこの大政策が再びクローズアップされているということに、歴史の因縁を感じずにはいられない。

そんな中、かつてその大前氏と共に「平成維新の会」や「一新塾」を創設した金野索一氏が昨年開校した「日本政策学校」に注目が集まっている。政治家が主催する流行りの "政治塾" とは一線を画し、平日夜と週末日中に開講。特定の政党によらない財団法人として「サラリーマンが働きながら政策を学べる場」を提供しているというのだ。


日本政策学校 第一期 渡辺善美 みんなの党
※写真は第1期の様子。講師の一人である渡辺善美氏による授業風景
 

ではなぜ、日本政策学校は「サラリーマンによる政策立案」を重視しているのか。金野氏はこう語る。

「2つの視座を挙げてみます。まず、現在の国会議員は、4つの職業の出身者だけで6割を占められています。2011年の衆議院議員の出身職業別データをみると、地方議員27.6%、政治家秘書16.3%、公務員12.3%、政党職員2.3%となっていて、政治・行政出身者だけで約6割になり、あまりにもアンバランスな状況です。

代議制民主主義が多様な民意を反映するための制度だとするならば、政治家も多様なバックグラウンド・職業出身者によって構成されるべきであり、その人材輩出が急務と言えます。

2つ目は、日本で成立した法案の約8割が内閣立法(政府提出)であり、議員立法(国会議員提出)がわずか16.5%であること。つまり、国会議員の仕事の大部分が官僚がつくった法案へのJudgment(賛成か反対)であり、Lawmaking(立法)の仕事は僅かになっています。

真の民主主義を実現するためには、選挙で選ばれた政治家が自ら立法するべきですがが、そのためには、社会の現場への知見に基づく政策・経営能力がある政治家の養成が必要です。しかし、生活者や消費者の現場を知る多様な分野の社会人が、働きながら政策立案を学べる場は日本では数少ない。」

なるほど、確かにサラリーマン出身の政治家を多く養成・輩出し、生活者起点に基づいた議員立法を成立させまくれば、現在の官僚主導の立法システムに風穴を空けられるかも知れない。これまで出てきた "政治塾" とは全く異なる明快なコンセプト――政治家主催の政治塾ではなく、このようなイデオロギーに左右されない「政策学校」が創設されたこと自体、画期的だと感じたのは筆者だけではないだろう。

しかし、どれだけ優れた理念で運営されていたとしても、肝心の中身が伴っていなければどうしようもない。近年の学校乱立問題はよく知られているところだが、どうやら同校の講師陣を見る限り、そうした心配も杞憂のようだ。

安倍晋三、管直人、田原総一朗、野中広務、河村たかし、宮台真司、福田康夫、渡辺善美、李登輝(敬称略)などなど…多数の総理経験者を含め、日本を代表する政治家・論客がズラリ数十人に及んでいる。「多様性を受け入れる柔軟な議論を推進すべく、さまざまな主義・論調を持った各分野で一流の講師陣に登壇頂く」という金野氏の言葉通り、かつてないほどの豪華かつバラエティに富んだ人選であることが見て取れる。

また、全てのカリキュラムを受講できる「本科」以外にも、オンラインでリアルタイムに講義が視聴できる「オンライン科」や、アーカイブ視聴のみ可能な「アーカイブ科」など、複数の受講プランが用意されており、多忙な会社員にとって比較的敷居が低いのも特徴だ。

今なら第2期開講記念ということで、週2回のペースでオープンイベントが実施されている模様。こうした機会を有効に使うことで、先に同校の空気に触れてみるということも可能だという。

日本の大学では学部名に「政策」と付いていても、実戦で使える体系的な政策立案の手法を学べる場所はごく限られている。政策立案に興味のある学生や社会人にとっては「待望」ともいえる同校の取り組みに今後も期待したい。

日本政策学校」第2期は、2012年11月28日開講予定。

一般財団法人 日本政策学校
金野索一氏/日本政策学校日本政策学校は、主義主張・政党を越えた自由な議論を通じて、多様な民意が反映される「真の民主主義社会」を実現するために、推進役となる政治リーダーを育成・輩出することを目的として創設された学校です。
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【写真】代表理事の金野索一氏