本来はパワーが有るはずの若者が黙っていていいのか?というのが、今のナザワの根幹にありますよね。別に「社会!」とか「政治!」とか言って、大上段に構えなくてもいいんですよ。単純に自分のためにする主張があってもいい。結果的にボツになっても良いのだから、自分勝手な主張をする若者がもっといてもいい。(中略)ボツがたくさん出てこれば、「オッサン」たちだって無視できないはずよ。だからまずは、物申すこと自体が必要なんですよ。そうでなければ、より「オッサン」の思った通りの社会形成が進むだけなんだから。

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「若者のための場を作っていく」というシンプルな動機

―――今までのお話を総括すると、これから社会に出ていく若者は、「オッサン」たちが作った既存のシステムに乗っかっただけではうまくいかないと。逆にリスクの方が多いと。だとすると、本当は未来ある若者が働きやすいような、政治的な動きがもう少しあってもいいと思うんですけどね。ナザワさんのようにみんながミュージシャンにはなれないわけで、やっぱり学校出て就職するっていう大きな流れにならざるを得ない。でもそれが、さっき言われてたようなシステムに飲み込まれる過程であってはならないと思うのですが。

ナザワ:ね。今日はカザーナ読者の皆さんにそういう感覚持ってほしくて来ましたから。嬉しいですよ。今ビリビリ来てます(笑)。

―――ありがとうございます(笑)。

ナザワ:ところがですよ。もちろん意図があって今のような聞き方になっていると思うので、あえてそこんとこノッちゃいますけどね。今の世の中、若者向きではないもので溢れかえっているじゃないですか(笑)。

―――そうなんですよ!(笑)

ナザワ:でしょ?そもそもね、今、建前抜きに若者のための政治施策ってあるんですかね?ニュースなんかを見ていても、今の政治って年寄りのためのものばかりに感じますよ。たまに「若者」というテーマが出てくることもあるけど、その恩恵は誰にいくのかのイメージが全く湧いてこない。

―――出口戦略まで責任を持って行動している同世代がまだいない、と?

ナザワ:そこまでは言い切れないよね。でも結局、世の中の大多数の「若者」って当事者不在なんですよ。確かに、経験豊富な爺さん婆さんが政治とか社会に参画することは合理的だと思います。でも、そもそも昼間に学校行ったり会社行ったりしている若者にはそういうフィールド自体がほぼ皆無なわけよね。だからZAWA友さんが、「若者のための場を作っていく」というシンプルな動機で始めたことにはまったく違和感がなかった。

―――ナザワさんにとって、「ZAWA友FESTA」への参加はすごくスマートな切り口だったんですね。

ナザワ:スマートだったねぇ、ホント。これが政治運動とかでガチガチの組織だったら、もちろん自分なんか呼ばれてないだろうしね(笑)。まぁでも一般的には、今の大多数の若者は社会とか政治とかには興味ないですから。最近はソーシャルだ何だといって社会参画する若者も増えてきていますが、その方法論がね、起業ならまだしも、有望な将来を顧みず儲からない社会活動に従事する、というようなものがまだまだ多いような気もします。それって、とても尊いけど、一部の高邁な理想と行動力のある人じゃないとそのフィールドに立てないじゃないですか。あまりにもハードルが高すぎますよね。だからZAWA友さんみたいな、「ゆるくても刺さる」行動を取ろうとするヤツらがいてもいいんじゃないかなっていうのはありますよね。ゆるいだけに、絶対的な成功を求めるわけではないけど、だからといって、内に秘めた熱いものを社会に還元したいという欲求は強いわけで。「社会参画」にも温度差があっていいっていうポジションで、どうやって理想を形にするのかのプロセスを提示する意味でも、彼らみたいなゆるい若者がいてもいいんじゃないかと思うんですよね。

―――「熱いけどゆるい」っていうのがポイントですね。

ナザワ:きっとそれくらいが、今の若者の気分にリンクしているんでしょうね。知識も経験もない若者が社会にコミットして、あわよくば自分の理想を実現したいという思いに対して、政治家や年寄りは誰も考えてくれません。例えば、一人の若者が「稲沢を原宿にしよう!」と思っても今の環境では到底実現すると思えない。馬鹿げているけど夢のあることを本気で望んでいる人がいたとしても、まじめに検討する機会すらないじゃないですか。これは、若者が自分たちがいイイと思うものを地元に求められない状況そのものであって、実際の政治は有力者の意向で方向性が決まっていく感じが出ちゃってますから、じゃあ若者は社会に向き合っても無駄なんじゃないかという空気が漂っている。

―――その絶望感は確かにありますよね。

ナザワ:一昔前には、勢い余って「政治家になって世の中を変えるんだ!」という空気もあったかもしれないけど、今は大学生が、入学した時から就職に有利な行動を取っていたりと、オトナ社会の顔色を伺っているような状況ですよ。そもそも、「自分の夢が!」「俺の話を聞いてくれ!」more!more!もっともっと!みたいなのがないですよね。そういう熱気みたいなものが若者の特権だったと思うんですが、そういうことは冷めた目で見られちゃう。それじゃあ、世の中のガキどもは立つ瀬が無いってわけで。

―――もしかしたら、今後はナザワさんみたいな強烈な個性も埋もれてしまうかもしれない。

ナザワ:正直おれはそれでもいいけど、それはナザワが許さないよね(笑)。まぁそういう意味で言えば、学生運動時代の東大生は頭の良い「ガキ」だったと思うんですが、そういう人たちが今の世の中を作ってきて閉じちゃった感がありますよね。今となってはガキがぶつかる対象がない。昔は熱量があったし、漠然とした目的があった。少なくとも、その当時は命をかけるほどのものがあった。政治に意見するだけの気合があった。今の時代にそんな気概のある人間がいるように思えない。もちろん自分にもないですよ(笑)。

―――だからと言って、今の若者が黙ったまま搾取されていいはずがない。

ナザワ:Of course.もちろん。だから、本来はパワーが有るはずの若者が黙っていていいのか?というのが、今のナザワの根幹にありますよね。別に「社会!」とか「政治!」とか言って、大上段に構えなくてもいいんですよ。単純に自分のためにする主張があってもいい。結果的にボツになっても良いのだから、自分勝手な主張をする若者がもっといてもいい。そもそも、今の「ジョーシキ」を作っているのが「オッサン」なんだってことに、僕らはもっとリアリティを持った方がいい。そりゃ中にはカッコいいオッサンもたくさんいて、そういう人は尊敬の対象なんだろうけど、どうしても主流派にならないでしょう?でも若者の側から声が上がって、ボツがたくさん出てこれば、「オッサン」たちだって無視できないはずよ。だからまずは、物申すこと自体が必要なんですよ。そうでなければ、より「オッサン」の思った通りの社会形成が進むだけなんだから。
稲沢で大型野外フェスなんかができたらサイコーだよね

―――このままじゃ、人口的に不利である以上、今の若者はただの負け犬ですね。

ナザワ:そう。でもね、もういいんじゃないですか。そろそろ振り返ってね、ガルルと唸って、吠えて噛みついてみても(笑)。そういう観点で言えば、もしZAWA友さんのような若者に力がついてこれば、彼らの力で市政に影響を及ぼすことができるかもしれない。あくまでも、彼らの目指すものは権力としての政治力ではなくて、若者の意見が無視しづらい空気を作るということなんでしょうけどね。でもそうすれば、結果的に若者のためのまちづくりにつながりますよね。全然直接的なものでなくて良いんですよ。今ある人脈でもそうしたことは構想できますし。でも、今の彼らの実力では、実現するのはまだまだ先でしょうね(笑)。

―――そんな彼らの姿勢のようなものが、ナザワさんのステージに影響を与えたりはしているんでしょうか。

ナザワ:ZAWA友さん、すごく刺激になっていますよ。あれに参加し続ける以上、今後はナザワのパフォーマンスにも、今の時代に則した方法論が必要になってくると思っています。ぶっちゃけますけど、そうした根拠を生み出すのは並大抵のことではないと思っていますよ。根拠が外から与えられないから、心の底から自分を信じなくてはならない。でも有難いことに、ナザワのライブにはいろんな人が集まりますから、それぞれの根拠を持ち寄れば、ホントに素敵なところに近づける。そういう可能性をステージの上に求めていくのが、今たまらなく面白いんですよ。

―――どんなに険しい道のりでも、帰る場所はステージにしかないと。

ナザワ:ナザワも結局、ただのバンドマンだってことですよ。「リードローカル」張っていきますけど、なんだかんだ言っても音楽にちなんだものがやっていきたいんですよね。ZAWA友さんの内部では、「稲沢で大型野外フェスなんかができたらサイコーだよね!」といったような、荒唐無稽な夢だったりが普通に語られてるみたいだけど(笑)。ナザワ、ここだけの話、彼らなら案外できなくもないかもという感覚がありますよ。今や祖父江にある木曽三川公園も稲沢市域に含まれていますしね。地理的には違和感のない環境ができちゃってますから。もともとの構想が大きくないと、実現することもままならない。そういう意味では荒唐無稽?All right!ですよ。

―――「新しい時代を作るのは、老人ではない」…!

ナザワ:いいねえ、クワトロ大尉(笑)。そういう熱気って、本来若者には備わっているはずだし、探せばもっと出てきますよきっと。「ZAWA友FESTA」のステージに立って、それがやっと信じられるようになりましたね。ナザワにできるのはせいぜいそうしたものを見つけて、ライブパフォーマンスを通じて世の中に示していくことくらいなんじゃないですか。別にその程度の目標でも構わないから、オマエもやってみたら?ってね。(了)