スーパー戦隊 Official Mook 20世紀 1988 超獣戦隊ライブマン (講談社シリーズMOOK) [ 講談社 ]
スーパー戦隊シリーズの主題歌で名曲は数あれど、今30代も半ばの男なら、この曲を聴いて熱くならない人間はいない。そう断言できる傑作が、今年ちょうど放送開始から30周年を迎えた「超獣戦隊ライブマン」である。筆者は放送開始当時6歳。対象年齢ど真ん中ストライク世代であり、その時期にこの名作に出会えたことは本当にラッキーであったとしか言いようがない。また、名曲であるがゆえに、他のスーパー戦隊主題歌とは異なり、放送終了後も小学校の持久走や夏祭りなど、子供向けのイベント時に多用されていたので、なおさら印象に残っているのかもしれない。


「超獣戦隊ライブマン」(日本コロムビア CK-805)作詞:大津あきら / 作曲:小杉保夫 / 編曲:藤田大土 / 歌:嶋大輔

今作は当時のカウントで「スーパー戦隊シリーズ10周年記念作品」と銘打たれていたためか、革新的な幾つもの新機軸が導入された作品だった。例えば、新人俳優の起用が多いスーパー戦隊シリーズにあって、天宮勇介(レッドファルコン)に嶋大輔、岬めぐみ(ブルードルフィン)に森恵と、当時すでに実績のあった有名俳優が起用されたり、出演者である嶋大輔が主題歌を歌っていたり。また、最初3人だった戦士が途中で2人加わり5人となる追加設定や、番組途中で司令官が殉職するシリアスな展開。そして何より2体のスーパーロボット同士がさらに合体する、いわゆる「スーパー合体」!これらすべてが戦隊シリーズ史上初の試みだったというのだ。

有名俳優を使っていることは子供にはあまり関係ないことかも知れず、事実自分もこの記事を作り始めてから初めて知った程度のことではある。だが、その他の新機軸…特に戦士が番組途中で増えたことや、それと同時に行われたスーパーロボット同士のスーパー合体は、今となっては黄金パターンである「1号ロボット敗北→2号ロボット登場→1号2号合体」という流れを組んだ初めての作品という意味で、当時の子供たちが受けた衝撃は凄まじいものがあった。

当時の自分も6歳ではあったが、何せそれまでは敵怪獣が巨大化してからは誰がどう見てもマンネリで、最後は必ずロボットの剣で切られて爆散ということを、ある種の安心感を持って観ていたわけである。だから筆者のように当時からひねくれていた子供は、密かに敵役を応援していたりするものなのである(ちなみに私はドクター・アシュラが抜群にカッコいいと思っていた)。そういう意味で今作の第28話「巨大ギガボルトの挑戦」におけるライブロボ敗北のインパクトは、今の子供たちの比ではなかったという時代背景も理解しておく必要があるだろう。

…下手に本放送を観てるだけに、つい興奮してしまい話が脱線してしまうわけだが、主題歌「超獣戦隊ライブマン」も、そんな作品のクオリティにまったく引けを取らないどころか、曲自体が見事に世界観を牽引できていると言っても過言ではない。

それもそのはず、まず作曲が小杉保夫である。「お嫁サンバ」「おらはにんきもの」「南国少年パプワくん」など、強烈なインパクトの作風で知られ、アニメやコマーシャルソングを量産しているヒットメーカーだ。また、スーパー戦隊シリーズの主題歌では「地球戦隊ファイブマン」と「超力戦隊オーレンジャー」を手掛けており、どれもこの連載でいずれ紹介したい名曲である。

さらにNHK教育にも多数楽曲を提供しており、いないいないばあっ!「わ~お!」「ワンワンパラダイス」「マル、サンカク、シカク」、おかあさんといっしょ「おまめ戦隊ビビンビ〜ン」「虫歯建設株式会社」、みいつけた!「ぼくコッシー」など、今なお子供の心をつかんで離さない有名曲がズラリである。

「超獣戦隊ライブマン」OPは、そんな氏のラインナップからしても、個人的には1位2位を争う傑作だと思っている。サビから間奏に至るエレキギターの”鳴き”は何度聴いても飽きないし、管の入り方もそれまでの戦隊シリーズの中で最もスマートな印象。とにかくカッコいいのだ。カッコいいと言えば、本編で最もカッコいいのは、実は敵のボスである大教授ビアスだったりする。氷室京介みたいなビジュアルの教授が、一握りの天才による世界征服を企んでいるのだからたまらない。

作詞は大津あきら。個人的には徳永英明の「輝きながら…」や、高橋真梨子の「for you…」が好きだが、はっきり言って本作と、メタルヒーロー主題歌の「特救指令ソルブレイン」が氏の最高傑作と思って間違いない(かなりの偏見だということも間違いない)。

君には聴こえないのか
激しい風の 囁きが
君にもきらめくはずさ
灼けつく 愛の稲妻が

正直、この最初の四行でこの曲の命運は決したに等しい。歌い出しのカッコよさだけで言えば、スーパー戦隊史上最高なのではないか。問いかけから入るのは青春ソングの王道だが、そもそも主人公たちは大学生で、青春ど真ん中である。だからこそボルトとの苛烈な戦いの最中にあって

青春爆発ファイヤー(ファイヤー)
青春炸裂ファイヤー(ファイヤー)

とコーラスまで率いて青春が炸裂ファイヤーしているのであり、最後には

超獣戦隊(ドコォン)ライブマァァァァン!

とレッドファルコン嶋大輔が絶叫するのである。嶋大輔の代表曲といえば「男の勲章」だが、つっぱることが男のたった一つの勲章じゃないのである。きっとこの主題歌も今や氏にとって大きな勲章となっているに違いない。

また、タイトルの間に爆発音が入るのも最高だ。これぞスーパー戦隊の醍醐味とも言える仕掛けだと思う。くれぐれもヒーローの背後で爆発が起こらなければスーパー戦隊ではないというような原理主義に陥らないよう気をつけたいものである。

最後に私がこの歌詞の中で、個人的に最も気に入っている一節について伝えておきたい。

ギラリ 戦え ライブマン
炎を燃やして
夢を見る素晴らしさ 伝えたら
キラリ 輝け ライブマン
跳び立て 今すぐ

間違いなく、この曲の核心だろう。戦いの中で、夢を見る素晴らしさを本当に伝えることができた時、ライブマンは跳び立つ。それができるならもう、私たちの前から姿を消してもいいんだと。そのくらいライブマンは、厳しい現実の中でも夢を見ることの大切さを伝えたかった。そしてそれを、身を持って教えてくれたのだった。

35大スーパー戦隊主題歌全集 1975〜2011 [ (キッズ) ]
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