

音響:★★★★☆

また、カラオケ館のスピーカーは、部屋の面積に対して他店より一回り大きいスピーカーが配置されているように感じた。前述したシダックスとは対照的に、非常に余裕のある作りになっており、ハウリングなども極力起こらないような工夫が随所に見られた。空間設計の段階でこうした配慮がなされているために、導入されているアンプやスピーカーの性能差がなくとも、これだけの音の違いを演出することができるのである。カラオケ館には音響のプロが関わっている可能性が高いと本誌は見ている。
★4とさせて頂いたのは、店舗によって、特に首都圏と地方とでそのクオリティが大きく異なるからである。あえて苦言を呈しておくと、この前入ったさいたま市内のある店舗の音響は最低だった。あれは空間設計以前に、アンプ調整が一切なされていなかったと思って間違いないレベルであった。アンプ調整が為されていない店で歌うと、例えばDAMならランバトの平均点が10点以上違う。これでは全国レベルで勝負にならないので早々に店を出ざるを得なくなるのである。本誌が音響にこだわるのはこうした理由も大きい。
曲数:★★★☆☆
カラオケ機種はDAM(第一興商)・JOYSOUND(エクシング)・UGA(エクシング、旧BMB)の3種類が設置されており、フロントで選ぶことができる。オーソドックスなラインナップではあるが、ほとんどの店舗において旧機種も並存させていることが大きな特徴で、最新機種になって消滅してしまった機能やコンテンツを楽しみたい場合に最適な全国チェーンといえる。もちろんその部屋が空いていればということになるが、こだわりのある方は入店前にリクエストしてみてはいかがだろうか。

内装:★★★☆☆

かつてはこれぞまさにカラオケ館!という内装の特徴だったわけだが、近年は「クラブ調ルーム」や「禁煙ルーム」「ファーストクラスルーム」「VIPルーム」「パーティールーム」など、店舗によって多岐にわたる部屋タイプが用意されており、全ての要望に対応せんとする汎用型カラオケBOXの王道をひた走っている。カラオケ業界のコンビニのような立ち位置を狙っているのかもしれない。
食事:★★★☆☆

公式HPには「種類豊富なドリンクメニューや厳選素材によるオリジナルフードメニューをご用意」「カラオケ館オリジナルのノンアルコールメニューは爆発的な人気を博しております」とあるが、正直それほどの差別化が図れているわけではないだろう。しかし、多様化が進むカラオケ業界だからこそ、こういう店は絶対になくてはならない。普通であるがゆえに、カラオケ館には「普通のレベルが高い」カラオケBOXであり続けてほしいと思っているのは本誌だけだろうか。
店員:★★★☆☆
途中での時間変更や人数調整など、パーティー時の対応もしっかりやってくれる。決してニコニコ、というわけではないが、淡々と、結果的には希望通り応えてくれるので丁寧な対応ということはできる。プロである。あまりにマニュアル通りというのも気持ち悪くて好きではないという人にはいいかもしれない。良くも悪くも、サービスに人間味がある。ただしこれも店によって相当のバラつきがあるので要注意だ。各店長の力量に左右されているのかもしれない。
料金:★★★☆☆
昼間の料金は30分40円(店舗により異なる)などと安い料金設定になっている。ただし、掲示してある料金はあくまで部屋の利用料金であり、別途1ドリンク(通常380円・店舗により異なる)が必須のため、その分料金がかかり他店より高くつく場合がある。無料で即時発行できる会員証を利用したり、ホットペッパーのクーポンを利用することで料金が割安になる場合がある。
付帯:★★★☆☆
カラオケ館は残り時間をアナウンスしない。10分前に電話が掛かってこない。これをプラスと捉えるかマイナスと捉えるかは利用目的によって異なるだろうか。個人的には、掛かってこない方が良い。あのコールは気分が萎える。だが時間をオーバーして追加料金を払わされるのは悲劇的である。タイムマネジメントができない状況の場合は利用しない方が無難かもしれない。その他、特別な付帯サービスは見られない。とにかくカラオケ館は部屋数と部屋タイプの充実度に尽きる。基本を押さえている代わりに、その他は最小限のサービスにとどめられているのだ。変わり種を期待していては肩透かしを食らうだろう。
総評「困った時のカラオケ館」
以上、カラオケ館の特徴をまとめると、「比較的良質な音響」「あらゆるシチュエーションに対応可能な空間設計」「大手メーカー機種を全店標準装備」ということになる。現在ではこれこそがカラオケBOXの王道サービスであると言えそうだ。これ以上のサービスが付帯されると「レストランカラオケ」や「総合アミューズメント施設」などとなり、カラオケBOXの域を超えて時間課金の性格がより強くなる。また、これ以上に安価になると低価格路線を取らざるを得なくなり、用途やメンバーが限定されてくる。つまり接待やサラリーマン向けではなくなる。ということで、絶妙な平均点を維持したカラオケ館こそ、現在のカラオケBOXの代名詞と呼ぶに相応しいのである。比較対象として、必ず候補に入れておきたい店舗であることは間違いない。
ただし汎用性が過ぎるために、そぐわない場面も必ず出てくるはずだ。食事のレベルや店員の対応など、同程度の予算でも局地戦用の他店に劣る部分は多々ある。また、店舗によって相当にサービスのバラつきがあることも覚えておきたい。立地条件や1次会店舗からの距離や行き易さなども鑑みながら、総合的に判断して頂きたい。
