カラオケ館 歌舞伎町本店「シンプル・豪華」という店舗コンセプトを順守し、首都圏を中心とした徹底的なドミナント戦略で商いを伸ばしてきたカラオケ館、通称「カラ館」。このすさまじさは新宿歌舞伎町に行けば分かる。四方八方、どこを見てもカラオケ館。どれも巨大なうえ、コンビニより数が多いのだから驚きだ。調査前は「青白い店」というようなイメージしか持ち合わせていなかったのだが、あなどるなかれ。蓋を開ければ、ここ数年でもっとも進化したカラオケチェーンとさえ言える、高いアベレージを誇る店舗クオリティに成長していたのである。いよいよシダックスやビッグエコーの背中が見えてきたのか?大注目の同チェーンの現在を、旗艦店である歌舞伎町本店を中心に検証する。

音響:★★★★☆
o0480035911073947023店によって相当のバラつきがあるものの、カラオケ館の音響は総じて良好だ。スピーカーに「カラオケ館」とロゴのあるタイプから、パイオニアの純正スピーカーまで様々だが、最も大きな特徴は天井の角にスピーカーが直貼りされているということである。構造と一体化することにより、スピーカー自体が音振動で震えることなく、安定した出力と性能を維持できる効果がある。他店の場合、天井にビス止めしたアームでスピーカーがぶら下がっているパターンが非常に多い(参考)。これは通常の家庭用オーディオビジュアルの考え方としては正解なのだが、用途として、むしろライブハウスやホールに近いとされるカラオケBOXの考え方としては、やはりスピーカーは建築に内蔵されていることが望ましい。これについて、どうやらカラオケ館は相当こだわっているのではないかと思われる。というのも、カラオケ館の各部屋にはラーメン構造特有の梁がないことが多い。これによって確実に部屋の上部角位置にスピーカーを配置できるし、音の乱反射を最小限に抑えられるため、音響的にはもっともベストな状態を聴き手に提供できるのだ。

また、カラオケ館のスピーカーは、部屋の面積に対して他店より一回り大きいスピーカーが配置されているように感じた。前述したシダックスとは対照的に、非常に余裕のある作りになっており、ハウリングなども極力起こらないような工夫が随所に見られた。空間設計の段階でこうした配慮がなされているために、導入されているアンプやスピーカーの性能差がなくとも、これだけの音の違いを演出することができるのである。カラオケ館には音響のプロが関わっている可能性が高いと本誌は見ている。

★4とさせて頂いたのは、店舗によって、特に首都圏と地方とでそのクオリティが大きく異なるからである。あえて苦言を呈しておくと、この前入ったさいたま市内のある店舗の音響は最低だった。あれは空間設計以前に、アンプ調整が一切なされていなかったと思って間違いないレベルであった。アンプ調整が為されていない店で歌うと、例えばDAMならランバトの平均点が10点以上違う。これでは全国レベルで勝負にならないので早々に店を出ざるを得なくなるのである。本誌が音響にこだわるのはこうした理由も大きい。

曲数:★★★☆☆
カラオケ機種はDAM(第一興商)・JOYSOUND(エクシング)・UGA(エクシング、旧BMB)の3種類が設置されており、フロントで選ぶことができる。オーソドックスなラインナップではあるが、ほとんどの店舗において旧機種も並存させていることが大きな特徴で、最新機種になって消滅してしまった機能やコンテンツを楽しみたい場合に最適な全国チェーンといえる。もちろんその部屋が空いていればということになるが、こだわりのある方は入店前にリクエストしてみてはいかがだろうか。

livedam_crossoまた、メーカー直営でもなく統合システムも採用していないことが逆に強みになっていることもあり、都市の特性に合わせて1棟丸ごと人気機種で構成された「LIVE DAM専門館」や「CROSSO専門館」などを配置している場合がある。こちらも機種にこだわる方には有難いコンセプト店と言えるだろう。

内装:★★★☆☆
カラオケ館 内装「シンプル・豪華」をコンセプトに、「明るい・大きい・美しい・綺麗・安全・安心」の施設の実現を目指してきたカラオケ館。公式HPにも掲げてあるその理念は伊達ではなく、歌い始めると照明効果で部屋全体が暗くなり、リズムに合わせてカラーライトが光りだす仕掛けがあったり、ファンタジックな手作り壁画が浮び上がる、画家直筆による「ブラックライトアート」が各部屋に設置されるなど、カラオケ館ならではの独特な空間へのこだわりが随所に見られる。ただし好き嫌いは非常に分かれる。悪趣味と取られる場合もあり、女性受けは悪いかもしれない(写真で見るよりもっと幻想的な雰囲気ではあるのだが…)。

かつてはこれぞまさにカラオケ館!という内装の特徴だったわけだが、近年は「クラブ調ルーム」や「禁煙ルーム」「ファーストクラスルーム」「VIPルーム」「パーティールーム」など、店舗によって多岐にわたる部屋タイプが用意されており、全ての要望に対応せんとする汎用型カラオケBOXの王道をひた走っている。カラオケ業界のコンビニのような立ち位置を狙っているのかもしれない。

食事:★★★☆☆
カラオケ館/ジャンボ焼きそばここでは「カラオケ館ロングラン商品」と言われる看板メニューのジャンボ焼きそば(650円)を食してみる。うむ、食える。うまい。まぁ何というか、まさにカラオケBOXで食べる焼きそばである。それ以上でもそれ以下でもない。たぶん冷凍だ。冷凍食品も最近はかなりうまいので、むしろ冷凍焼きそばが食べたい日もあるくらいなので、そうしたジャンキーな欲求にはきっちり応えてくれそうだ。元来、カラオケボックスで食べる食事とはそういうものだと思っていたので、別段驚きもしないという印象だ。これがあまりに美味いとかだと料金が上がり、カラオケBOXとして「汎用」とは言えなくなる。そういった豪華さを利用者が求めていないということを、たぶん理解してのメニュー構成なのだろう。

公式HPには「種類豊富なドリンクメニューや厳選素材によるオリジナルフードメニューをご用意」「カラオケ館オリジナルのノンアルコールメニューは爆発的な人気を博しております」とあるが、正直それほどの差別化が図れているわけではないだろう。しかし、多様化が進むカラオケ業界だからこそ、こういう店は絶対になくてはならない。普通であるがゆえに、カラオケ館には「普通のレベルが高い」カラオケBOXであり続けてほしいと思っているのは本誌だけだろうか。

店員:★★★☆☆
途中での時間変更や人数調整など、パーティー時の対応もしっかりやってくれる。決してニコニコ、というわけではないが、淡々と、結果的には希望通り応えてくれるので丁寧な対応ということはできる。プロである。あまりにマニュアル通りというのも気持ち悪くて好きではないという人にはいいかもしれない。良くも悪くも、サービスに人間味がある。ただしこれも店によって相当のバラつきがあるので要注意だ。各店長の力量に左右されているのかもしれない。

料金:★★★☆☆
昼間の料金は30分40円(店舗により異なる)などと安い料金設定になっている。ただし、掲示してある料金はあくまで部屋の利用料金であり、別途1ドリンク(通常380円・店舗により異なる)が必須のため、その分料金がかかり他店より高くつく場合がある。無料で即時発行できる会員証を利用したり、ホットペッパーのクーポンを利用することで料金が割安になる場合がある。

付帯:★★★☆☆
カラオケ館は残り時間をアナウンスしない。10分前に電話が掛かってこない。これをプラスと捉えるかマイナスと捉えるかは利用目的によって異なるだろうか。個人的には、掛かってこない方が良い。あのコールは気分が萎える。だが時間をオーバーして追加料金を払わされるのは悲劇的である。タイムマネジメントができない状況の場合は利用しない方が無難かもしれない。その他、特別な付帯サービスは見られない。とにかくカラオケ館は部屋数と部屋タイプの充実度に尽きる。基本を押さえている代わりに、その他は最小限のサービスにとどめられているのだ。変わり種を期待していては肩透かしを食らうだろう。

総評「困った時のカラオケ館」
以上、カラオケ館の特徴をまとめると、「比較的良質な音響」「あらゆるシチュエーションに対応可能な空間設計」「大手メーカー機種を全店標準装備」ということになる。現在ではこれこそがカラオケBOXの王道サービスであると言えそうだ。これ以上のサービスが付帯されると「レストランカラオケ」や「総合アミューズメント施設」などとなり、カラオケBOXの域を超えて時間課金の性格がより強くなる。また、これ以上に安価になると低価格路線を取らざるを得なくなり、用途やメンバーが限定されてくる。つまり接待やサラリーマン向けではなくなる。ということで、絶妙な平均点を維持したカラオケ館こそ、現在のカラオケBOXの代名詞と呼ぶに相応しいのである。比較対象として、必ず候補に入れておきたい店舗であることは間違いない。

ただし汎用性が過ぎるために、そぐわない場面も必ず出てくるはずだ。食事のレベルや店員の対応など、同程度の予算でも局地戦用の他店に劣る部分は多々ある。また、店舗によって相当にサービスのバラつきがあることも覚えておきたい。立地条件や1次会店舗からの距離や行き易さなども鑑みながら、総合的に判断して頂きたい。

総合評価3
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