東京夜景
東京は早くも都知事選モードらしいが、そもそも愛媛は松山から、俺が初めて東京デビューしたのは約半年前。それから今日まで5~6回愛媛と東京を往復した。40も半ばに迫ってようやく東京に足を踏み入れたというわけだが、結論から言わせてもらうと、20代~30代で東京に目もくれずアジアを旅しまくっていた自分の直感が、いかに正しかったのかを証明しただけだった。

誰も言わないならあえて言おう。東京は、もう死んでいる。東日本大震災で、ついに致命の秘孔を突かれたのかも知れない。

東京初は日本初?パンダ騒動で感じた地方への無関心――辛坊治郎

この1週間、どうにも違和感が抑えられないことがあるんです。まず、上野動物園のパンダの出産です。私、パンダは嫌いじゃありません。生まれたばかりのパンダは、毛の無いネズミみたいでちょっと気持ち悪いですが、全身に毛が生えそろって白黒模様がくっきり見えてきたころの赤ちゃんパンダは本当にかわいいです。

でもね、この出産、全国紙の1面に写真入りで伝えるほどのニュースでしょうか? 週末に東京へ行く機会があったので、この素朴な疑問を口にしたら、こんな答えが返ってきました。

「辛坊さん、日本で初の自然妊娠のパンダですよ。こんなにめでたい話はないじゃないですか!」

これは間違いです。和歌山のアドベンチャーワールドでは、既に12頭のパンダが生まれていて、そのうちの多くが自然妊娠です。

つまり日本初じゃなくて、単に東京初というだけなんですが、どうも関東に住む人たちは、東京初なら日本初だろうという思い込みがあるようなんですね。赤ちゃんパンダくらい白浜に行けばいつでも、それもムッチャかわいい双子が見られるのに、東京の人はそんなことも知らずに上野のパンダで大騒ぎ。とっても違和感があります。

もう一つ、関東の人が「東京で当たり前のことは、日本中で当たり前」と思ってるんだなと感じたのは、地井武男さん逝去のニュースでした。地井さんが名優なのは言うまでもありません。昔のドラマの1シーンを見ただけでも、いかに素晴らしい俳優さんだったかは一目で分かります。

でもね、逝去を報じた全国紙が一斉に「『ちい散歩』で愛された」なんて書くのは配慮がなさすぎです。朝日新聞の天声人語などは、この番組だけをメーンに一文書いてきました。

関西の多くの人にとっては「『ちい散歩』って何?」って感じでしょう。だってこの番組、基本的に関東ローカルですからね。それなのに「東京で有名な番組は、全国でも当然有名なはずだ」という前提で話をするのは、傲慢だと思うんです。

どうも東京で活動するメディア人や政治家は、あまりにも地方の事情に無関心すぎるような気がします。こんな意識で「地方分権」を考えられても、その先には絶対にホントの「分権」はないでしょう。

辛坊さんがおれと同じことを言っている…。そう、ここまで近視眼的になった東京は、もう20世紀で終わっていたのだ。腐りかけた肉が旨いのと同じで、今はカウントダウンで辛うじて暮らしやすいだけだ。

時代のロケーションを考えれば明白じゃないか。もう世界の大都市の主役は、上海やバンコクなどに移っている。東京なんてアジアの東端に行ったら、他の都市とリンクできない。これから東京は極東のクソ田舎になるのだ。

四国と同じ構造で、辺鄙だから何とか今でも発展しているに過ぎない。

四国は瀬戸大橋が開通して豊かになると思ったら、大阪や岡山などにストロー効果で吸い上げられて経済植民地になった。アクアラインが開通してからの千葉・木更津だって同じ構造だ。

東京も、アジアの他の都市とリンクしたら確実に吸い上げられるようになる。今は、まるでそれを嫌がってわざと孤立しているかのようだ。

東京は首都だから「街」を維持できているのであって、首都機能を移転したら確実にバラバラになる。そういう歪みきった人口構造で東京が出来ていることを、せめて住んでいる人間は忘れないほうがいい。

東京は消費の道具として利用されているのだ。その証拠に、皆使い捨てのような生活をしている。物凄く管理された消費社会だ。それゆえ、本当の資本主義社会ではない。エコノミーの翻訳は「資生」であって、「経済」ではない。ずっと東京にいると、その意味すら分からなくなるようだ。

次に東京直下型の大地震が来た時、まだ既得権にしがみつこうとする東京の愚民たちが再開発を拒否するなら、今度こそ東京は滅ぶ。

かつての関東大震災の時は、日本が人口や経済の成長期で、しかもアジアが動乱の時代だったからこそ都市として再生できた。だが、今度はそうはいかないだろう。人口が6000万人まで減ろうという少子高齢化時代のこの国にあって、関東圏に3000万人も抱える余裕はない。

中国が文化大革命の時に北京や上海の連中を農村に放り込んだように、日本も「下放」をやるべき時が来ているのかもしれない。文革は世界史上に刻まれるべき悲劇ではあったが、その一方で、中国はあれで半ば強制的に国土の均衡的な人材配置を実現、その後の経済発展に繋がった。面とはいわないが点と線で発展することができた。

関東の食糧基地であった福島が大震災と原発事故で壊滅的な打撃を受けた今、もはや関東平野を都市にしておく理由はない。地政学になぞらえた場合、東京を江戸時代以前のような農業地帯に戻していくということも、これからは選択肢の一つとして持っておくべきなのかも知れない。

瀬戸内平八
せとうちへいはち/愛媛県出身・在住の歴史家、旅人、ニート…何でもいい。本音持って来い!自由とは、覚悟の色、矜持の風。人生を検索するな!結果のバランスを取るな。大義親をも滅ぼす。知行同一。間違ったら即焼き土下座。優しさを捨てて寛容になれ。そして敵を祝福せよ。
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