高校入試 長澤まさみ
フジテレビ系列では12月まで湊かなえ脚本の『高校入試』が放送されていた。高校入試の日の陰謀と、それに振り回される教員たちのドタバタ劇は教員の私にとっても興味深いものだった。答案用紙が紛失したり、同窓会長が学校に乗り込んできたり、「高校入試をぶっつぶす」という張り紙が教室に張られたり、試験中に携帯電話がなったりと、ハプニングだらけのストーリーでなかなか楽しめた。

だが、私が知る限りこのようなことは実際には無い。もちろん採点ミスも起こっていないはずだ。ドラマの通り、テストの採点は複数人で行われる。ダブルチェック、トリプルチェックでミスが起こらないようになっている。携帯電話については事前に保護者が付き添いでいるので、試験会場に持ち込まれることはないだろう。もちろん持ち込み、着メロが鳴れば失格扱いである。

そこで今回は、意外と知られていないかもしれない高校入試の常識を3つほど挙げてみたい。どれも現場にとっては当たり前の内容なので、関係者は全く読むに値しない内容なのだが…。

*      *      *

① テスト問題は「重要機密」扱い?

実際の試験問題作りであるが、職員室の中でもかなり機密扱いで作成されている。夏休みなど先生があまりいない時期にこっそりと作られている。加えていうなら、こっそりと印刷もされている。他教科の先生がどんな問題を作っているかを知ることはできない。

入試が終わった後、出題された問題を解いているが算数は難しい。どんな法則や公式を用いれば解けるのか、若く柔らかい子どもたち脳なら解けるのだろう。日能研のHPにある「シカクいアタマをマルくする。」のコーナーを見ながら他校の入試問題にもチャレンジしたことがあるのだが、やはり難しかった。いったいどこから、あのような難しい問題を作っているのやら。


② 面接で本当に生徒の人柄が分かるのか?

私も面接官を務めたことがあるが、正直10分や15分の面接で受験生の人柄はわからない。受験生はしっかりと回答を用意してきており、みな金太郎飴のような同じ回答になってしまう。たとえば「最近、読んだ本は何ですか?」と聞けば『アンネの日記』と集団面接で複数人答えることもあるくらいだ。本当に読んでいるかはわからないが、中には聞いてもいないのにストーリーを解説する子もいる。集団面接であれば、限られた時間内に複数人に質問しないといけないので、できる限り一人がしゃべりすぎることは避けてほしい。

では面接ではどのようなことを見るかというと身だしなみであったりする。靴が汚れていないか、ラフな服装で来ていないか、スカート丈は短くないか、など風紀面が気になる。最近の傾向として入試でも短い丈のスカートでくる受験生が増えているが、学校としては避けてほしいものである。


③ テストや面接以外でも見られているのか?

テストや面接が終わり気が抜けると地が出てしまう受験生もいる。急に言葉遣いが乱暴になったり、親に対して乱暴な言葉を使ったり、つわものは外のベンチで横になる、ということもある。

学校は受験生のそのような姿もある程度見ている。よっぽど気になるようなことがあれば上層部に報告されることもある。それなので受験生の保護者は学校を出るまで気を抜かないようにしてほしい。

*      *      *

今回、編集長から「次回はオモシロ受験ネタで」という、相変わらず無茶なお題を頂いたが、入試ネタはとても機密性が高く、センシティブでもあるので当たり障りの無い内容になってしまったかもしれない。読者の方々には、それだけ学校にとって入試が大切なイベントであるということをお分かり頂ければ幸いである。

さて、1年続いたこの企画も今回で最終回。これまで私の稚拙な文章にお付き合い頂き、ありがとうございました。またいつか、しっかりとネタを収集して復活できればと思っている。

はくぼく太郎
はくぼくたろう/現役女子校教員。趣味は徘徊。でも夜回りはあんまりしない。ちなみにヤンキーでもない。この連載は、言いたいことも言えないこんな世の中に向けた、同世代への贈る言葉。
>> 続きを読む