「ZAWA友FESTA」の連中はさ、彼らなりの怒りとか、課題提起を踏まえた社会的活動をしているという点では紛れもなくNPOなんだけど、本質的にはむしろロックミュージシャンに近いタイプなのかも知れないね。実はパンクバンドなんかが持っているような、「オトナたちは汚ねぇ!オレたちはそんな社会を認めねぇ!」みたいなエートスに近いかもしれない。ロックの形がね、ローカルから変わりつつあるんじゃないですか。

2014-07-20 150

パンクムーブメントとしての「まちづくり」

ナザワ:今日はどうもありがとう。ナザワです、ヨロシク。

―――お会いできて光栄です。ナザワさん、リハお疲れ様でした。ライブまで残すところあと2週間となりましたが、調子はいかがですか。

ナザワ:コンディション、悪くないですよ。当日はガンガンマイク蹴って、回していきますよ。期待していてください(笑)。

―――とても楽しみです。「ZAWA友FESTA」参加は今回で4回目ですよね。

ナザワ:フル出場ですよ。でも、あっという間でした。今日まで、稲沢の皆さんに支えられてのナザワでしたね。もう、感謝しかないです。

―――まず最初に、「ZAWA友FESTA」参加以前のE.NAZAWAについてお聞きしたいのですが。

ナザワ:ナザワね、暇でしたよ。音楽も売れないし、もうやることない。だからその頃から、床屋政談のような話は大好きでした。酒飲んで、ワーッてね。でもその時気付いたの。今の若い連中は政治とか社会に無関心だとか言われてるけど、全然そんなことない。そういうところに対して、例えば「ZAWA友FESTA」の連中はさ、彼らなりの怒りとか、課題提起を踏まえた社会的活動をしているという点では紛れもなくNPOなんだけど、本質的にはむしろロックミュージシャンに近いタイプなのかも知れないね。実はパンクバンドなんかが持っているような、「オトナたちは汚ねぇ!オレたちはそんな社会を認めねぇ!」みたいなエートスに近いかもしれない。ロックの形がね、ローカルから変わりつつあるんじゃないですか。

―――いわゆる「産業ロック」に支配された音楽業界よりも、今やローカルで活動するNPOみたいな集団の方が、よりスピリチュアルな意味でロックだと?

ナザワ:そう。今の時代、かつて僕らが憧れていたロックスピリッツって、別にミュージックに限らないんですよ。今はミュージック以外にも、いろいろな表現方法がありますから。本当のこと言うと、僕らミュージシャンはそこんとこ、もっと敏感にならないと今はもうヤバイ人種なんです。

―――音楽業界の危機が叫ばれて久しいのは、ダウンロードの影響だけじゃないと。

ナザワ:もちろん。例えば今、「ZAWA友FESTA」の連中がイメージ化を進めている "歌の街" というコンセプトも同じですよね。ホントは、もともとそんな素地はないと思ってノリで始めたら、実は地元で活動しているコアなミュージシャンがいたりして。面白いよね。後付けでも良いから、本当に稲沢が「歌の街」になったとしたら、サイコーじゃないですか。

―――ビジョンがあるから形になっているんですね。単に上手い下手の問題じゃない。

ナザワ:きっかけは嘘臭いかもしれないけど、思わぬところでルーツが蘇るというプロセス。いいよね。こういうアプローチも悪くないなと真剣に思いましたね。今は名古屋の大学サークルに出演者を募集しているみたいですけど、そうやって活動の中で仲間を増やしていくのって、僕らが駆け出しのぺーペーだった頃と何も変わっていない。そういう空気を、ここ稲沢でビリビリ感じてますね。で、これ実は、ミュージシャン・ナザワの領域じゃなくて、プロデューサー・ナザワの領域なんですよ。ずっとステージングしていたいから、そのための環境づくりから始めようと。ローカル都市は、その気になればその動きを街全体で考えられる。規模が小さい分、それが強みになっちゃう。

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リハーサル中のE.NAZAWA。本番さながらの気迫で挑む。ナザワのスタジオには常に心地よい緊張感が走っている。

―――その感覚はすごく良くわかります。だとすると、E.NAZAWAにとって今の稲沢は、結構居心地が良いんでしょうか?

ナザワ:誤解を恐れずに言うとね、全然(笑)。何もない街。悪い意味で、フツーの街。そういう印象ですよね。これも持論ですけど、「フツー」って、そのもののことをよく知らない時に使う言葉なんじゃないですか?

―――確かに。興味がないからとりあえず言っとけ、みたいな言葉かも知れません。

ナザワ:人って、よく知っていることについては何であれ特別なものに感じるでしょう?だから、結果的に知られていないからフツーにしか感じない。というか、僕の周りでは、誰もいいところを探そうとしてるようには見えない。まあ普段、「フツーの人」って、どうでもいい人のことを表現するときに使いますからね。こういう観点で、自分の故郷がこの程度の受け止められ方しかされていないって、一体どうなんだってことなんですよ。

―――「フツーの街」って何なんだと。住んでいる人は一人一人違うのに。

ナザワ:今、稲沢だけじゃなく、地方のいろんな都市がね、歴史とか○○が日本一みたいなプロモーションをしていますよね。まちづくりの世界で言われている「都市間競争」が、ゆるやかとはいえ、確実に始まっているんですよ。でも、そういうスペックで街を売っていくのってどうなんでしょうね。

―――「日本一」「世界一」まあ、インパクトはありそうですけど…。

ナザワ:いや、よくあるじゃないですか。「業界ナンバーワン」を標榜している聞いたこともない企業とか(笑)。知られてもいないのに数字的な表現が先行すると、ただただ胡散臭いですよね。ナザワ、数字にはこだわりますよ。でもね、数字って説得力はあるかもしれないけど、感性に刺さるような効能は、実はないんですよね。あくまでも手段でしかない。ナザワはそれはビビビっと、本能的に理解しているわけですよ。

―――これにハマってはいけないぞ、と。

ナザワ:もちろん、自分の立ち位置を見なおすとか、地域の魅力を棚卸ししたいというのならいいんですよ、それでも。でもここでね、陥りがちなワナ、言いましょうか。スペックが自己目的化しちゃうんです。これですよ。こうなったらもう意味がないんですよね。頭の良さそうな人が喜ぶオナニーの一形態に過ぎないと思いますね。そういう意味では、稲沢は今のところ、ナザワには刺さっていないわけで。当然、ナザワのコンサートを見に来るオーディエンスも同じように考えてますよ。だからそういう感性で、何も考えなくても「稲沢っていいよね!」と思えるような街に変わって欲しいという思いは常にありますね。(続く
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